まず体重。
M医院が「痩せ妊婦、推奨」ではなかったことも大きいけれど、けっきょく臨月の時点で12キロ増というあんばいに。わたしはすこぶる着痩せする体質なので、ふだんから体重が3キロとか5キロ増えても、あんまり太ったように思われないのだけれど、今回もそれはそうだった。後ろから声をかけられて前をむくとぎょっとされる、というのがけっこう長く、臨月間近になってやっと「それ相応」感がでてきたみたい。その頃はもちろん、お尻は四角。大きくなった輪郭は鏡餅感にみなぎり、全体としてはまるでキティ・ホーク、空母感ばりばりなのやった。
そして、体毛。
わたしは髪の毛はものすごーく多いのだけれど、体毛は少ないほうで、たとえばわきの永久脱毛などは一年12回は最低通わなければならないところを、3回で終わったというそういう感じ。しかし。この妊娠中は、体中の毛がどんどん濃くなり、おなかの、おへその少しうえあたりに、うっすらと毛が渦巻いているのを発見したときは、「オウ……」と妙な声が出たものだった。そしてまさかのわきの毛の復活。なんと、再生したというか、眠れる毛根が「目覚めよ!」と呼び起こされたというか(何のために?)、とにかくまたまた生えてきたのだった。ああ、ホルモンって、偉大やね。わたしら、ホルモンの奴隷やね。気分も体も、ホルモン様のいいなりやね……。そんなことを思いしらされた一年弱だったなあ。
そして、肌。
しみ、そばかす、といったトラブルはこれまでほとんどなかったわたしだけれど、妊娠中はまじでおそろしかった。でるわでるわで一気に顔の全体に茶色いしみが浮きはじめて、すでにあったほくろは濃くなり、うっすらとした奥ゆかしいといってもよいほど小さな点でしかなかったそんなほくろたちが、日に日に成長して、幾つかはつまめるほどの立体&大きさになったときにはええええええええと声を出して驚いた。首にも細かなほくろが増えて、まるで墨汁を口に含んで「ぷっ」と吹かれたようなそんな感じ。ほくろ、といえば、なんかかわゆい感じもするけれど、じっさいは「いぼ」と「しみ」をかけあわせた「いぼじみ」みたいなあれで、これがもう、「加齢」しか思い起こさせないような代物なのである。へこんだわあ……。そういうのがあちこちに出現して、いわゆる「しきちん」(色素沈着ね)がいたるところに勃発して、わきとか、首とか、そういう皮膚がこすれるところのメラニンが北斗の拳の雑魚キャラよろしくヒャッホウ! ってな感じに跋扈してさ、もうこれまでささやかながらに投資&実践してきた美容のあれこれがきれいあっさり全なしになって吹き飛ばされた、これもまたそんな一年弱であったよなあ(しみじみ)。
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『赤毛のアン論』松本侑子・著
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