インタビューほか

「集団的自衛権ってそもそも何なのよ?」
安全保障のエキスパートが素朴な疑問を解決します!

「本の話」編集部

『日本人が知らない集団的自衛権』 (小川和久 著)

 安倍政権は憲法解釈を変更し、「集団的自衛権」を認める閣議決定をおこないました。総選挙後の国会では、これが最大の焦点となる見込みです。しかし、政府の説明は難解でわかりにくく、理解できる人は少ないでしょう。新聞やテレビの報道もしかり。  そんな中、安全保障のエキスパートである小川和久さん(軍事アナリスト)が、中高生でもわかるQ&A方式のスタイルで、「集団的自衛権のそもそも論」を1冊の作品にまとめました。小川さんに素朴な疑問をぶつけてみましょう。

――これはわかりやすいですね。安倍総理にこそ読んで勉強してほしいぐらいです(笑)。ところで、集団的自衛権の行使を認めることには、「自衛隊が海外で勝手に戦争を始めるんじゃないか?」「憲法解釈の変更って、危険なことなんじゃないか?」という心配もあります。本当に大丈夫なんですか?

「ジョージ・ワシントン」の後方を単縦陣で航行する海自護衛艦「しまかぜ」など日米艦艇(九州、沖縄周辺海域):朝雲新聞時事通信フォト・海上自衛隊

 これも新聞報道などで誤ったイメージが定着してしまった例ですね。

 じつは日本の自衛隊は、単独で戦争をおこなって他国を占領するような能力をもっていません。また、集団的自衛権によって、むしろ自衛隊の暴走に強力な歯止めをかけることにもなるのです。他国と協調しながら日本の安全を守る、というのが集団的自衛権の発想です。だから自衛隊だけが勝手なことをするわけにはいかなくなるのです。

 憲法解釈の変更について、「平和憲法の放棄だ」といった批判がよくみられます。しかし、戦後約70年の歴史を冷静に振り返ると、日本政府は時代の流れの中で、憲法解釈を何度も変えてきているのです。朝鮮戦争、東西冷戦、ソ連崩壊など、国際情勢はめまぐるしく変わります。その時代背景に合わせて柔軟に憲法解釈を変えることは、むしろ当然なのです。

 諸外国もそうしています。

 たとえば日本とよく比較されるドイツは、戦後57回も憲法を改正しています。しかもドイツはNATO(北大西洋条約機構)に属していますが、ドイツはNATOの中で個別的自衛権の単独行使を禁じられており、集団的自衛権で国の安全を保っているのです。つまり集団的自衛権はドイツの軍事的暴走に歯止めをかけているのです。

 これ以上詳しくは、本書を読んで一緒に勉強しましょう。

――それは驚きです。憲法を何度も改正して集団的自衛権の行使を認めているドイツが、「また侵略国家になった」とは言われませんよね。なのに日本では「これで日本は戦前に戻る」とか言われています。

 とにかく、日本だけでしか通用しない議論はやめましょう。

 かつての社会党のような「非武装中立国家で行くべきだ」といった極論はさておき、「集団的自衛権で、日本は戦争できる国家になる」「アメリカは日本を守ってくれないから、日米同盟を捨てて核武装しよう」などという現実を見ていない空理空論が流布しているのは、とても残念です。こうした論がいかに根拠のない馬鹿馬鹿しいものであるかも、本書では明らかにしています。

 私たちの日本を守る手段は、私たち日本人自身が考えなければなりません。戦争をさせない政府をつくるのも、私たち自身。それが民主主義の理念です。

「自衛隊の歯止めがなくなる」などと大騒ぎする人たちは、そんなに自分たちの民主主義に自信がないのでしょうか。

「日本の民主主義」を考える上でも、本書を通じて集団的自衛権への理解を深めていただければと願っています。

日本人が知らない集団的自衛権
小川和久・著

定価:本体750円+税 発売日:2014年12月19日

詳しい内容はこちら


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