インタビューほか

幻のデビュー作『静かな雨』発売。『羊と鋼の森』が本屋大賞を受賞して変わったことは?

「本の話」編集部

『静かな雨』 (宮下奈都 著)

『羊と鋼の森』で本屋大賞を受賞した宮下奈都さんのトークイベントが10月23日に名古屋で開催されました。本をキーワードに街を盛り上げるブックマークナゴヤの一環として開催されたもので、会場には熱心な読者50人が詰めかけました。聞き手は、ジュンク堂書店ロフト名古屋店店長の石本秀一さん。

スピンアウト小説の可能性は?

石本 もう一度読んでみて思ったのですけれど、続編とかスピンアウトを読みたくなりました。書かれたりする予定はありますか?

宮下 最初に構想を練った時には、主人公がもうちょっと先まで行けているはずだったんです。でも、やっと調律師としての一歩を踏み出すというところまでしか書けなかったので、もう少し書きたいという気持ちがありました。それから、双子の姉妹の和音と由仁のことを書いているときが楽しかったので、この子たちの話を書きたいなという気持ちもありました。

 というように当初は思っていたのですけれど、時間が経てば経つほど、怖くなりました。自分が想像しているよりも彼らはもっと先に行っているんじゃないかとか、あるいは横道にそれているかもしれないとか、作者のつもりでいたけれど自分の想像から外れたところまで行っているんじゃないかなと思うと、今から新しく書くというのはちょっと怖い気がします。

石本 例えば、双子の由仁がピアノを弾けなくなってしまったときの話では、そこを乗り越えた段階からしか出てこないじゃないですか。あそこに至るまでの葛藤なんかすごく見たいなあと思うんですよ。その後の姉妹と外村くんの関係とかも。

宮下 そうなんです。由仁は調律師になろうって決心するんですけれど、同じ楽器店に入って一緒に調律をするとなると、外村くんよりもすごく筋がいいので、外村くんはあれっ、て。

石本 和音をめぐる三角関係になってきますよね。調律師の先輩である秋野さんの過去にも興味があります。たぶんそこに板鳥さん関わっていますよね。直接は書かれていないけれども秋野さんがピアニストを諦めて調律師になる過程の中で、板鳥さんは出てきていますよね。その辺とかすごく読みたいと思うんです。

宮下 私も読みたいです(笑)。

石本 会場のアンケートで『羊と鋼の森』映画化のキャストを色々考えて下さっているのですが、主人公に岡田将生って悪くないですよね。

宮下 外村くんはたぶん、岡田将生のようなあんな正々堂々としたイケメンじゃないと思います。岡田将生が北海道の田舎の学校とかにいたらみんなほっとかないじゃないですか。坂口健太郎のほうがまだ近いかもしれないですね。あ、いや、坂口健太郎もイケメンですよ(笑)。大野智とか櫻井翔と書いて下さった方もありますね。このキャストで映画化されたらお客さんはたくさん来てくださいますね。そういう意味ではすごく嬉しいですけれども……。

石本 まだ何もそういったお話は決まっていないんですか?

宮下 主演が決まったとお聞きしましたけれども。

石本 あっ、でもまだ言っちゃだめなんですよね。

宮下 そうなんです。私、すぐ顔に出ちゃうので、ここで正解が出てバレちゃうといけないんで。

【次ページ】本屋大賞を受賞して、変わったことは?


 こちらもおすすめ
特集【冒頭試し読み】羊と鋼の森(2018.02.09)
書評本屋大賞『羊と鋼の森』をプロの調律師が読んでみた(2018.02.09)
特集『羊と鋼の森』に感動の声。読者が選んだ「私が好きなこの一文」(2016.07.06)
書評多くの「妻」と「母」の足下を灯台のように静かに照らす、この小説は光だ。(2013.06.07)
特設サイト6月映画公開! 待望の文庫化 宮下奈都『羊と鋼の森』(2018.02.09)
静かな雨宮下奈都

定価:本体1,200円+税発売日:2016年12月12日

羊と鋼の森宮下奈都

定価:本体650円+税発売日:2018年02月09日