2015.08.20 書評

初めて書かれた「反日」大統領の実相

文: 呉 善花

『朴槿恵の真実 哀しき反日プリンセス』 (呉善花 著)

 韓国第一八代大統領朴槿恵(バククネ)は、朴正熙(バクチョンヒ)元大統領の長女として広く知られていますが、それ以外のことについては、日本では多くが語られてこなかったように思います。そのためもあって、大統領就任当初、日本のメディアの大部分が、今度の大統領は「親日的な政治家」であり「日韓関係は改善されるだろう」と、少なからぬ期待を寄せたのだと思います。

 朴正熙は戦前、創氏改名して高木正雄と名乗り、日本の陸軍士官学校を卒業した満州国軍人の経歴をもっています。韓国大統領となってからは、日韓国交正常化を成し遂げ、日本からの資金的・技術的な援助を大きな糧として、韓国の高度経済成長を達成させました。また、安倍晋三首相の祖父岸信介元首相とも親交がありました。

 朴槿恵はその娘なのだから親日家だろうと思われたのでしょう。しかし朴槿恵は、大統領選挙に勝利した直後から、歴史認識・慰安婦・領土などの問題を持ち出し、反日の旗印を鮮明に掲げて政権を出発させたのです。当初からこれだけ反日姿勢を明確に打ち出した韓国大統領は、かつていませんでした。

 なぜそうなのかを含めて、本書では、日本ではよく知られていない朴槿恵大統領の政治的な性格を、次の五つの時期の主な活動や出来事を通して、できる限りはっきりさせていこうと思います。

(1)一九七四年にテロの凶弾に倒れた母親の陸英修(ユクヨンス)に代わり、父親の朴正熙大統領のもとで国家のファーストレディとして活動した時期(二二~二七歳)。

(2)一九七九年に朴正熙が暗殺されて以後、政治活動から身を退いた時期(二七~四五歳)。

(3)一九九七年に野党(保守系)候補の大統領選挙運動に参加し、一九九八年に国会議員に当選して大統領候補となるまでの時期(四五~六〇歳)。

(4)二〇一二年一二月の大統領選挙に向けた選挙戦の時期(六〇歳)。

(5)二〇一三年二月に大統領となって以後(六一歳~現在)。

【次ページ】

朴槿恵の真実 哀しき反日プリンセス
呉善花・著

定価:本体780円+税 発売日:2015年08月20日

詳しい内容はこちら



こちらもおすすめ
インタビュー・対談侮日観の伝統から照らし出す韓国の反日(2014.01.28)
書評なぜ安倍首相が「わが軍」と口走る自衛隊が生まれたか――池上彰の戦後史解説(2015.07.19)
特設サイト佐藤 優セレクション『文藝春秋 戦後70周年新書フェア』(2015.07.03)
書評「欧州におけるドイツ」は、「アジアにおける中国」か?(2015.06.10)
書評本の内容が古びなかったことを喜ぶべきか、「変わらない日本」を嘆くべきか(2015.03.13)
書評元サムスンの超エリート 張相秀さんが指摘する危機の要因 (2015.02.01)