さて、これは、中学生カップルの話ではありません。20代も半ばを過ぎて、こんな初心(うぶ)なデートをする理系クンを、あなたはどう思いますか?
友人Eちゃんは、私にこう話してくれました。
「A君って、面白い! メールの敬語は、真面目な証拠だし、私の知らない工具の世界に詳しくてかっこいい。すごくシャイで、2人で歩いてても中学生の放課後かと錯覚しちゃうけど、ベタベタされるより新鮮でいいかも。仕事がすごく忙しくて毎日疲れるってメールがくるけど、そんな彼を私が支えられたら嬉しいな」
そもそもなぜ理系クンフェチになったのか
どうですか、すごい好印象ですよね。その話を聞いていた私も「A君最高!」と叫ぶ程、彼女と同意見です。仕事は研究職なので専門的でカッコイイのに、恋愛のこととなると耳まで真っ赤にするかわいらしさ。理系クンのそんな二面性がたまりません!
そうなんです。私の“理系クン萌え歴”はちょっとしたものなのです。小学校1年生――周囲では、運動神経のいい男子が人気だった頃、私は算数が得意で天文が趣味の男の子に憧れを抱いてました。
そもそもは、父が電気工学系オタクであることが、私の理系クン好きの原因であるように思います。青春時代から秋葉原のジャンク屋巡りに精を出してきた父は、幼い私の前でも不可解な部品を買ってきては組み立てたり、お手製の操縦機で走る鉄道模型の部屋を作ったり。我が家が電化製品をなかなか買い替えなかったのは、壊れても父が修理してしまうからでした。
そんな理系の父の背を見て育った私は「よく解らない理系男」というものに興味を持ち、面白みを見出すようになったのかもしれません。
本書『理系クン』は、そんな私が実際に理系クンに近づこうと観察したり、逆に「理系クン」ことN島クン(現在は夫になっている)が私に歩み寄ろうと頑張ってくれたことなどを描いたコミックエッセイです。右記で例にあげた、「工学系理系クン」A君とEちゃんのように、慣れない恋愛に奮闘する私たちの様子を描きました。
これまで理系クンには興味がなかったあなたにも、興味はあっても近寄りがたかったあなたにも、新しい発見がきっとあるはず。理系クンとの恋愛には回り道が多いですが、頑張って下さい。理系クンはダンナにするにはもってこいですよ(笑)。