- 2013.08.27
- インタビュー・対談
堀井憲一郎さんトークショーレポート
「本の話」編集部
『ホリイのずんずん調査 かつて誰も調べなかった100の謎』 (堀井憲一郎 著)
ジャンル :
#ノンフィクション
90年代の雑誌だからできたこと
司会 「ホリイのずんずん調査」は、「週刊文春」において、1995年から2011年までの足かけ17年間にわたっての長い連載でした。ちょうど阪神大震災から、東日本大震災までの時期にあたります。今回、800回近い連載を、1冊の本にまとめるのは大変だったでしょうか?
堀井 どの原稿を選ぶか、とても時間がかかりましたね。「決めたくない」というか、単行本の編集者と、連絡を取らないようにしたりとか(笑)。自分なりに選びたかったのは「これは何か発見したな」というもの。本数にして、50本くらいありました。ドラマのネタとか、分かりやすいものは、かなり省いていますね。落語ネタも、それだけで本を出す予定があるので、1本くらいしか入れてないですしね。
司会 落語のネタはこれから出る本のお楽しみということでしょうか。そして、その選ばれた100本ですが、「ジャンルわけ」というよりも「調べること」にこだわったものを中心にまとめられていますね。
堀井 調べることによって、人が驚くのを見るのがすきなんですね。よく言えばエンターテイメントですが、子どもがいたずらしているのに近い気持ちですよね。「驚かせたい」「楽しませたい」というのが基本にありますね。ただ自分は、どこかで作業に入ると最後までいかないと気が済まないというのはありますね。
司会 ディズニーランドの調査とか、本当にそうですよね。
堀井 新しいディズニーの本を出そうと思って、レストランのメニューを全部食べようとしたりとかね(笑)。そこまでやらなくてもいいんだろうけれども、全部把握してないと書けないというか。
司会 誰もやらないことをやろうとするのが、面白いんでしょうね。
堀井 ディズニーランドのレストランのメニューを全部食べたら合計50万円を超えることが分かって。それは、誰もやらないでしょうねえ(笑)。
司会 今回、長きにわたっての連載が、こうして分厚い1冊の本にまとまったわけですが、感慨のようなものはありますか?
堀井 まあね、こういう調査ができたのも、90年代だったからというのもあるでしょうね。いまだったら、経費がかかりすぎて、とても編集部が許してくれないと思いますよ。90年代後半の時代は、まだ雑誌に荒っぽさが残っていたと思います。