- 2013.08.27
- インタビュー・対談
堀井憲一郎さんトークショーレポート
「本の話」編集部
『ホリイのずんずん調査 かつて誰も調べなかった100の謎』 (堀井憲一郎 著)
ジャンル :
#ノンフィクション
『ホリイのずんずん調査 かつて誰も調べなかった100の謎』の刊を記念して、堀井憲一郎さんのトークショーが行われました。1995年から2011年まで長期にわたって「週刊文春」に連載された「ホリイのずんずん調査」の裏話から、連載をまとめた本書の制作裏話まで。爆笑トークをお楽しみください。
1995年、連載スタート
司会 血と汗と涙の結晶ともいうべき『ホリイのずんずん調査 かつて誰も調べなかった100の謎』を刊行された、堀井憲一郎さんです。
堀井 (会場の人数を数えながら)1、2、3……、「二十四の瞳」といった感じでしょうかね、今日は。(場内爆笑)わざわざ、この秘密クラブにようこそ(笑)。今日は皆さんからもどんどん質問をいただければと。
司会 この本は、週刊文春の連載「ホリイのずんずん調査」をまとめたものですね。連載が始まったのが1995年です。どのようないきさつで始まったのでしょうか?
堀井 週刊文春の編集者から「連載をやってくれませんか」と頼まれて。その前に女性誌の「CREA」で記事を書いたことがあって。内容は、映画の分析と、NHKののど自慢を1年間分調べるとかで。その編集の人、平尾さんといって、当時の編集長で、いま社長だそうですね。私を見つけてくれたひとが(笑)。1995年の3月、オウム真理教のサリン事件のちょうど後くらいだったですよ。
司会 週刊誌の連載が始まってどんな気持ちでしたか?
堀井 当時まず思ったのな、「文春で連載するんだから、地方とか行って忙しくなるだろうから、携帯電話を買わないといけない」と。9万円しました。それを当時、飲んだとき失くして、届け出たらまたもらえるのかと思ったら「6万円払え」と言われましたねえ。それくらい、携帯電話が高い時代でした。あと、いまちょうど1994年のドラマを調べてるんですけど、携帯電話が出てきてないですね。使っていてもヤクザとかで、「携帯はカタギは使わない」という時代があったんです(笑)。まあ、2~3年であっという間に携帯電話は世の中に普及しましたけどねえ。
司会 当時はまだポケベルもありましたよね。
堀井 そう。ですから当時のバイトへはポケベルで連絡してました。事務所にポケベルの「文字変換表」を貼ってました。「1+1」が「あ」で「1+2」が「い」とかで、それで指示を出すんですよ。まあ、短い指示しか出せないんですけどね。
司会 懐かしい時代ですね。連載ですが、そもそも最初から、調べもの、調査の内容でいこうという感じだったんでしょうか?
堀井 「TVブロス」とか「週刊漫画アクション」で、調べるということをいろいろやっていて、1993年に『ホリイの調査』という本も出していましたからね。その調査でやろうとしたんですが……。週刊文春ということで、「舞台」がデカくて、なかなか書けなくて苦労した思い出がありますね。
司会 第1回目の調査は、野球ネタでした。
堀井 はい。「バッターが打ってから、どれだけバットを遠くまで飛ばすか」。東京ドームに行って、バックネットからビデオカメラを回して撮影しました。で、概算の数字で、誰がボールではなく、バットを遠くまで放るかの距離を出したんです。でまあ、数えて数字は出たんですけどね、文章が書けなくて。で、第1回目の締め切りが過ぎた時に、当時の編集者が、勝手に鍵開けて、部屋に上がってきましたからね(笑)
司会 一体、どうやって?
堀井 マンションの管理人に頼み込んでね。「中で、倒れているかもしれないから」と。後にも先にも、編集者が部屋に勝手に入りこんできたのは、このときだけですね(笑)。この第1回目の締め切りのときは、編集長から「週刊文春を潰す気でしょうか?」というFAXも来ましたねえ(笑)
司会 それはたいへんな連載第1回でしたねえ。
堀井 編集者も締め切りについて、上手にだましてくれてるんだろうけれど、こちらもねいろいろ考えてね。「寝る前には書きますから」と答えたりとかして。どちらかというと、追い詰められないと書けないタイプなので。編集者が電話の向こうで、メチャクチャ怒っているような姿を想像して書くという感じでしたねえ。
司会 調査の中で、大がかりなものは、結構、学生アルバイトの人を使っていましたよね?
堀井 最初、バイトは1人だったんですけど、文藝春秋さんだから、経費を出してくれるでしょうということで増えていって。それがその後どんどん大変なことになっていくわけですけれど(笑)。とりあえず、月曜日から金曜日まで、毎日ひとりバイトに来てもらうようにして。
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