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堀井憲一郎さんトークショーレポート

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「本の話」編集部

『ホリイのずんずん調査 かつて誰も調べなかった100の謎』 (堀井憲一郎 著)


ジャンル : #ノンフィクション

文章のルーツは落語

司会 それで「どの落語家が面白いのかランキング」を作るわけですね。

堀井 ええ。2004年の年末の合併号で発表しました。そもそも発表するかどうするか、迷いましたねえ。落語界は、300人くらいしかいいないわけですから、騒然とするのは目に見えてましたから。300人しかいない高校の上位30名の成績を、週刊文春に発表するみたいなものですからね。

司会 そのあと、2005年もランキングを作られましたね。

堀井 もうちょっと、見ようと思って。ただ当時の編集者に「落語のが多いですねえ」と言われたりもしました。当時、NHKのドラマで「ちりとてちん」をやっていまして。それも含めて落語のネタが多いと言われてたんですけど、自分の中では「ちりとてちん」はドラマネタなんですよねえ(笑)。なので3回の連載で、「落語→落語→落語」と続いているようにみえても、自分の中では「落語→ドラマ→落語」だったりしたんですけどもね(笑)。思い出した。ネタに注文がついたのは、あの1回だけだったかも?

司会 好きな落語をどんどんテーマにできる、フリーハンドな連載だったんですね(苦笑)

堀井 そもそも、私が関西出身で。特に浪人していた時期に、関西の落語を聞きこんでいた時期があるんです。テレビでもなんでも落語が流れていると録音して。カセットテープが何100本もたまりましたね。19歳の時に「上方落語で聞いた事のないネタはないんじゃないか」と思っていたですからねえ。今でもその中の10個くらいは思い出してしゃべれるんじゃないかと思います。

司会 東京に出てきてから、落語にははまらなかったのですか?

堀井 うーん、落語の組織とか個人とか、なんか関西とは違うんじゃないかというのがあって。それで90年代になって、東京に10年以上住みだしてから落語をなんとなくまた聞くようになったんです。そもそも、落語をそれだけ聞いていてから文章を書けるというのがあるんですよね。

司会 堀井さんの文章のルーツは落語にあるんですね。

堀井 そうですね。「言葉をいくつ覚ええているか」というのが、文章を書くときに本当に役に立つんですよ。文章は、自分のオリジナルでなくてもいいから、覚えている言葉を道具として使って、自分の言いたいことを書けばいいんですよ。「さっき、横断歩道で変なオバサンがいた」というのは、自分のオリジナルだから、それをね、いかに楽しい言葉に乗せて書くかというね。

司会 本の中に、堀井さんにとって「週刊文春の連載が、1行14字から12字へ、1行の文字数が変更になった」ということが大きかったとありますね。

堀井 そう。週刊誌の文字を大きくするために、1行が14字から12字に減ったんですけど、これがもう書きづらくて。1行14字立てが、身に着いちゃっていましたからね。連載の当初なんかはもう、「最初の一文は一行、14字以内に収める」ってポリシーでしたからね、もう。それが、2文字減ると難しいんですよ。

司会 また調査の話に戻りますが、「この調査は簡単だった」というものはありましたか?

堀井 これは、大きな調査の途中で、やることがなくて町を歩いている時に思いついて調べたネタで、「押しボタン式信号機は、押して何秒後に色が変わるか」(笑)。早稲田松竹前の信号機で深夜に調べましたねえ。

司会 意外と思いつきでも、立派なネタになるものですねえ。

堀井 思いつきといえば、ペヤングソース焼きそば。「ペヤング焼きそばは、お湯を何cc入れると捨てるお湯は何ccになるのか」という調査。まあ、5通りのお湯の量のデータを取ろうと思ったら、ペヤングを5個買ってくればすぐ調べられますから(笑)。ただ、ある法則が発見されたんですね。それは「湯を多く入れたほうが、麺はより多く吸収する」ということ(笑)。あと、ある劇団が、舞台でこの文章を読まされたと、劇団員の人のブログに書いてありました。なんでよりによって、このネタなのか、不思議ですけどね。あと、昔ペヤングのCMをしていた志の輔師匠から「ペヤングの捨てるお湯の量のことを調査している人がいるんだと人に言っても信用してくれませんでしたよ」と言われたりとかねえ。

司会 思いつき企画に、すごい反響があったんですね。

堀井 こちらとしては、手がかかった大きなネタをやったときに反響があったらと思うんですが、そういうものじゃないんですよね。まあ、継続していくことが、1番の反響をもらえるということだったんじゃないでしょうか。

【次ページ】90年代の雑誌だからできたこと

ホリイのずんずん調査 かつて誰も調べなかった100の謎
堀井憲一郎・著

定価:1890円(税込) 発売日:2013年08月03日

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