- 2016.07.20
- インタビュー・対談
毎日を自分らしく、ポジティブに生きる人生の達人(前編)
「本の話」編集部
『もうすぐ100歳、前向き。 豊かに暮らす生活術』 (吉沢久子 著)
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#随筆・エッセイ
日本初の家事評論家・吉沢久子さんは「働く女性」の先駆け的存在。98歳にして一人暮らしをされています。吉沢さんが日々を送る中で、大事にしている事とは一体何なのか? 生涯現役で生き生きと暮らす秘訣を探ったのが本書です(聞き手は生活研究家・阿部絢子さん)。文庫化を機に、緑に囲まれた杉並区のご自宅へ伺いました。
――ここ最近は、短期間の入退院を繰り返していらっしゃいますが、体調はいかがですか?
吉沢 貧血になってくると、ふらっとよろけたりするのが出てくるんです。そうすると、いつでも入院できるように準備万端整えた支度を持って、かかりつけの病院へ行く。「今日、入院できますか?」と訊くと、「はい、じゃあ病室探します」と先生が言ってくれるんです。先生と仲良くなっちゃってね(笑)。そして輸血してもらうと元気になる。貧血の原因は分からないって言われるのですが、まぁ先生は原因が分かっていても、あえておっしゃらないんでしょうけど。「もう100歳近いですから(原因が分からなくても)構わないんですよ」って言っています(笑)。
――ふらっと倒れて誰かに助けを求めて入院するというわけではないのですね?
吉沢 ではないんです。自分でなんとはなしに調子が良くないと感じたら、お医者さんに行っちゃう。たいした症状じゃないものですから、入院できればいいという感じでね。入院中、シャワーの日なんかあるでしょ。誰のお世話にもならないで自分一人で浴びられますからシャワー室まで行く。そうすると、病院の中の段差が気になって、途中でジーッとしてることもあるんです(笑)。
――段差につまずいたりしたら大変なことになりますものね。
吉沢 そうです。「ひっくり返りそうになったらいけない!」なんて思う。まぁそういうのをやっぱり自分で注意するのが一番大事なんだと思いますよ。
――吉沢さんは、何事にも準備万端でいらっしゃいますね。日々の暮らしの中で創意工夫し、常に色んなことを考えていらっしゃる。
吉沢 一緒に暮らしていた姑や夫に先立たれて一人になってからは、そうせざるをえなくなったんです。「なにかあったら……」って考えながら、いつもやってきた。まぁ、そうはいっても自分で出来る範囲でね。それに、割りと親しくしている姪が何でもサポートしてくれるっていうもんですから心強いんですよ。姪は妹の娘ですから、一番遠慮がない(笑)。
――でも、適度な距離感はおありになるんじゃないでしょうか。「倚りかからず」っていうのは、吉沢さんがいつもおっしゃっていることなので。
吉沢 そうです、自分にそういう気持ちがないとね。人に倚りかかったらダメです。やっぱり、(相手にとって)重荷になるでしょ。倚りかからないから、サポートしてくれる(笑)。わたしは割りと人に頼ることがなかった。「頼りにしてるわよ」なんてことを人に言わなかったしね。
――吉沢さんのそういったお考えはどういうところで培われたのでしょう?
吉沢 一人暮らしをする中でです。それから、若いときから私は誰にも倚りかからず生きてきちゃったものですから。母親が反面教師だったのでしょうね。
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