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時間を掛けることなく頭を使いながらゴルフ上達への道を歩いて行きたい

時間を掛けることなく頭を使いながらゴルフ上達への道を歩いて行きたい

文:永田 玄

『あなたがもう迷わずにゴルフを上達するための意識改革と練習方法』 (永田玄 著)


ジャンル : #趣味・実用

 ゴルフを始めたのが40歳を過ぎてのことで、遅いスタートだった。'90年代の終わりの頃の話である。すでに周囲は上手な人ばかりで、早く上達しなければ恥ずかしいし、なによりも財布がもたない。握ることで、思わぬ授業料に泣かされたことも度々だった。「なんとか短時間で上達したい」と思っても、時間がなく、さほどお金もなく、肉体的には本格的なスポーツの経験もない、というないない尽くしだった。

 自分なりに工夫を重ねながら、最後にこだわったのが「言葉」だ。もちろんレッスンプロにもついた。しかし、私には彼等の言葉が理解できなかった。「何が言いたいのかさっぱりわからない」と腹が立つばかりで、仕方がなく自分でメモを取りはじめたのだ。そして言葉の断片を想像力で繋いだ。まるで土の中から発掘した土器片を器にするような作業に約4年を費やして、ようやくゴルフスウィングという運動の骨格が見えてきたような気がした。そして2012年に刊行した『ゴルフに深く悩んだあなたが最後に読むスウィングの5ヵ条』という本になったというわけだ。

 この本では「立つ」「捻る」「遠心力」「管理」「連動」という5つの言葉でスウィングの基本を表現した。従来のゴルフレッスンと比べると奇抜な発想かもしれなかったが、多くの読者が支持してくれた。望外とはこのことだった。

 当初は本が売れてうれしくもあったが、しばらくして恥ずかしくなってきた。私のようなどこにでもいるアマチュアゴルファーの本が売れていいのだろうかと……。本は書いたものの、私のスコアはなかなか安定しなかった。

 ゴルフの本は1冊だけで終わりにしようと思っていたのに、また『ゴルフに泣かされた夜あなたが心にきざむスコアメイクの具体策』という本を書いてしまった。書かずにはいられなくなったのだ。それはゴルフが下手なままでいる原因が見えたからだ。これを記して、なんとか悩める“同病の士”を救わなければと考えたのだ。もちろん、いの一番に救いたいのは私自身であったのだが……。

 実際に言葉を重ねるほどに見えてくるものがあった。「技術」と「メンタル」は切り離しては考えられないこともわかってきた。それを「ゴルフ脳」「ゴルフ力」という言葉で表現した。くわえてスコアにもっとも関係のあるアプローチとパットについても細かく言及した。この2冊目も幸いにして高い評価をいただいた。

「下手」なアマチュアだからこそ書けた本

 そして3冊目となる『あなたがもう迷わずにゴルフを上達するための意識改革と練習方法』で私のゴルフをめぐる旅は一旦完結した。

 なぜボールは飛ぶのかを考え抜いた。エネルギーの源は何か? と自問すると、反対に古い理論が見えてきた。それは下半身のステップを使ったスウィングだ。ベン・ホーガンも青木功もフィル・ミケルソンもみな、ステップを使ってボールを飛ばしている。タイガー・ウッズにも、旧理論の痕跡が見られた。旧理論を検証することで、新しいスウィング理論がよりはっきりと見えてきたのだ。

 

 新理論では捻転によるエネルギーでボールを飛ばしている。まずは新旧理論の差異を、形ではなくエネルギーの源から解き明かしていった。すると多くのゴルファーが新旧理論の狭間で混乱していることが見えてきた。本書の巻頭では「新旧理論の差異と混乱を明解にする」についてできる限りわかりやすく書いたつもりだ。この新旧ふたつの理論の混乱こそがミスの原因を生み出しているのだ、と多少強引に結論づけた。つづいて「新理論を体現するための理想のスウィングメソッド」をオリジナルで作り上げた。まったくクラブを持たないメソッドである。

 いまでは、これら3冊は「下手」なアマチュアの私だからこそ書けた本だという自負がある。実際に日々のミスショットこそが勉強の材料だった。「なぜミスをしたのか?」という疑問への答えが、スウィングの真実を教えてくれた。

 肉体的に恵まれていて、毎日のように練習場に通う時間があり、年間に100ラウンドもできる経済力があれば、ゴルフがゴルフを教えてくれるかも知れない。しかし私はいまも、さほど時間を掛けることなく、頭を使いながら、ゴルフ上達への道を歩いて行きたいと考えている。なんとも調子のいい話だが、そのために10ヤードのアプローチからドライバーまでをとてもシンプルな理論で完結させた。

 私のゴルフ理論を裏打ちするのは「単純こそが応用性に富んでいる」という言葉なのだ。

電子書籍
あなたがもう迷わずにゴルフを上達するための意識改革と練習方法
永田 玄

発売日:2015年03月06日

プレゼント
  • 『リーダーの言葉力』文藝春秋・編

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