バスの中、ある停留所を過ぎようとしたときのことである。
「殺してください。私を殺してください」
と、1人のスリランカ人男性が叫び声を上げた。凍りつく車内の乗客たち。運転手だけが冷静だった。
「ここで降りたいのですか?」
「はい」
爆笑にかわった車内。なるほど「コロシテ」と「オロシテ」は、1字しか違わない。
トルコからの女性留学生は、多くの日本人のマスク姿に驚いた。トルコで白いマスクをつけるのは、重病人か伝染病の人たちだけ。
「大変な病気なのに、こんなにたくさんの日本人が、それをおして働いているなんて……」
と、18歳の彼女は感動した。
英語教師のアメリカ人男性は、東京のような都会でも、落し物が戻ってくることに驚いている。
「財布をうっかり落としてしまったり、大切な物を置き忘れてしまったことが何度かありましたが、なくした物はすべて私の手元に戻ってきました」
東北の大災害をベルギーのテレビで見た70代の女性は質問する。
「被害者たちは、なぜ泣き叫ばないの? 略奪や反乱もない不思議さ。極度の困難を、勇気と品位をもって受け入れる。サムライの名誉をかけた行動なのかしら?」
賛辞とともに、多くの疑問も寄せられた。
家に上がるときには靴を脱いで、スリッパをはく。トイレでは、また別なのをはく。面倒ではないのだろうか?
日本では父親が子供と一緒にお風呂に入る。女児でも。「イタリアではモンダイです。警察がすっとんできます」
西暦と和暦を使いこなすのは大変。どうして2つを併用するのか理解できない。
「遊びにおいでください」と言われて待っていても、連絡がこない。ただの“社交辞令”なのだろうか?
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『赤毛のアン論』松本侑子・著
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