世界に冠たる傑作機――零式戦闘機。ミッドウェー海戦の敗北から始まる日本軍の落日は、零戦の落日でもありました。大空の彼方で、搭乗員たちが胸に刻んだ思いとは。
貧しい農家の長男として、学業優秀で将来を嘱望されながら、海兵団を志望。技量抜群であるがゆえに、最初の特攻隊員の一人になりました。戦闘機が爆弾を抱いて米国艦艇に体当たり――外道と評されたこの戦術を、ある少女との栗拾いの思い出を胸に、受け入れました。最初の特攻隊「敷島隊」の中に、途中で目標を変更して自爆を成功させた一機があります。驚嘆すべき冷静な判断力、平和な時代ならさぞ有意の人材になったであろう魂のほとばしり――この人物こそ彼に間違いない、と著者は信じます。
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