なんでこんなにおもしろいんだろう。いくら説明しようとしても、し尽くせない。解説者としての苦悩や困惑も伝わってきます。
・普通とはなんかちがうものをよりどころに文章は動いていき、流れていき、読者にささやきかける (12)スイカ担当/荒川洋治
・思い――それを幻想と言い換えてもいいかもしれない。そして、東海林さだおという人は、そういう幻想をあやつる魔術師なのである (8)伊勢エビ担当/芦原すなお
・東海林さんの本はおもしろい (11)マツタケ担当/南伸坊
・とにかく、読んでもらうしかないです (20)ゴハン担当/大田垣晴子
・光栄にも東海林さんの本の解説を頼まれ、どうしたものかと考えた挙句、こんな大人気ない話を書いてしまいました (10)ブタ担当/みうらじゅん
・何だかわからないけれど、「日本はだいじょぶ」「日本人はいい人だ」と思える (14)親子丼担当/中野翠
・「丸かじり」をヒントに私のレシピを少しだけ記します (18)猫めし担当/平野レミ
・本書には出てこないが、私は自分の好きな中華丼に話を誘導したいのである (24)おでん担当/絲山秋子
・小生は、一度としてミートソースが存分にかかった、スパゲティミートソースを食べたことがない! (25)うなぎ担当/逢坂剛
・グ~! たら~! (27)コロッケ担当/しりあがり寿
各巻の解説者はじつに多士済々、華麗なお歴々。その誰もが「東海林さだお」の前ではただの愛読者になってしまう。ただの食いしん坊になってしまう。
私ですか? 私は「鍋に黒船」の回を読んで、カレー鍋のちくわ麩を食べたくてたまらなくなりました。もともと、おでんの具の中でちくわ麩が一番か二番くらいに好きなんです。しかし今は六月、スーパーを二軒ハシゴしてもカレー鍋のツユは手に入らず。思い余ってキムチ鍋のツユを買ってきて、ちくわ麩を突っ込んでみたのです。するとここでも、おでんより「こっちのほうがいいや」という顔をしているんですね!
そういえば、小麦粉だもんな。カレーとかキムチとか、濃い味付けのほうが合うよね。おでんみたいな薄口の汁の中で、ちくわ麩が生き残ってきたことのほうが、むしろ奇跡かも。
・ちくわ麩も東海林さんによろしくと申しておりました (30)どら焼き担当/佐藤和歌子
そうそう、大事なことを忘れてた。ちょっと左手でこの本の後ろ表紙をめくってみてください。下に「カバー/和田誠」と書かれてますよね。この表紙は東海林さんの画じゃないんです。あの和田誠さんが、わざわざ東海林さん風に描いている。何やってんですか、アンタ方は。そう突っ込みたくなるのは私だけじゃないはず。
こんなところにも愛読者が隠れている。ほんとうに、愛されているんです。
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『赤毛のアン論』松本侑子・著
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