「ねぇ、犬派? 猫派?」
「ねぇ、つぶあん派? こしあん派?」
「ねぇ、木綿豆腐派? 絹豆腐派?」
……誰しもがこれまでに数回は質問されたことがあると思う。
これまでは、
「えーと、猫派かなぁ」
「えーと、こしあん派かなぁ」
「えーと、絹豆腐派かなぁ」
と、答えてきた。しかし世の中には意地悪な者も存在する。その者たちは、他愛ない質問をしてきたようなふりをして、
「へぇ、じゃあ『私は犬みたいに従順じゃないのよ』って言いたい感じですかぁ?」
「へぇ、じゃあ『つぶあんおはぎみたいなのは田舎っぽい』とか思っているんですかぁ?」
「へぇ、じゃあ『木綿豆腐の料理は嫌い』なんですかぁ?」
と「選択しなかった方を嫌っているかのようなワタシ」像を作り出し、さりげなく「お高く止まってんじゃナイワヨ」と言わんばかりに攻撃してくることがある。こんなのを周囲にも人がいるような環境で言いふらされたら釈明に時間がかかるし何より面倒だ。しかし予見をできない自分にも非はある。気を抜けば「ヤラレル」世界……、それが私にとっての現代社会なのだ。そんなわけでこのように「ムムム、どちらも嫌いではないのに、どっちかと選択を求めてくる不穏な質問だな……」と感じたらこう答える、というパターンを心に刻んでいる。
(1)まずは「ええー、どちらも捨てがたいわぁ」などと迷ってみせる(困惑)。
(2)数秒経過してから「選ばない方の長所」を挙げる(緩衝散布)。
(3)その後、「僅差で選んだ感じ」を出しながら「選んだ理由」を付け加える(苦渋の決断)。
(4)最後に「あー、こういう二択は想像しただけで老けちゃいますねぇ」とその質問の酷さを伝える(事後牽制)。
この流れで大体の攻撃は防御できる。
「ねぇ、犬派? 猫派?」
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