4時間に及ぶ白熱の議論の末、今年いちばんのお勧めを決定!
――いま、時代小説界は、大きな転機を迎えています。
新しい書き手が続々と登場してブームと言われる一方、刊行点数が増えるあまり粗製濫造気味になっているとの声もあります。我々の暮らしぶりも、昔とは違うものになりましたが、あらためて江戸の豊かさや生活の知恵などから学ぶところも多いのではないでしょうか。
そこで「本屋さん」の視点から、2011年現在の時代小説界に光をあてるべく、ヴェテラン書店員の方々にお集まりいただきました。5冊の候補作から「本屋が選ぶ時代小説大賞」の1冊を決めていく話し合いのなかで、プロの目による率直な意見を紹介したいと思います。
メンバーは、東京旭屋書店池袋店店長の中野誠さん、リブロ池袋本店店長の菊池壮一さん、八重洲ブックセンター顧問の鈴木文彦さん、紀伊國屋書店新宿本店の市川房丸さん、そして、古書店主としての顔も持つ、作家の出久根達郎さんの5名です。まずは、本屋の皆さんの自己紹介をお願いします。
中野 私は昭和28年、東京の三鷹生まれです。旭屋書店では札幌や大阪、名古屋店の立ち上げなどにも携わり、現在は池袋店の店長になって5年目です。
菊池 私は昭和30年生まれで、やはり東京出身です。昭和52年に西武百貨店に入社したんですが、堤清二(元オーナー)の号令の元、自前の大型書籍売り場が、池袋店にできて2年目のタイミングでした。食品が希望だったのに、なぜか書籍売り場に配属されて(笑)、それ以来、ずっと本屋をやっています。
鈴木 私は昭和21年、岩手県盛岡生まれです。実は、つい最近まで文藝春秋に勤め、「オール讀物」には編集長も含めて16年在籍しました。ただし、本屋になってからの日は浅く、まだまだ修業中です。今日は、皆さんがどういう本を読者にお勧めされるのか楽しみです。
市川 私は東京オリンピックのあった昭和39年に生まれました。うちの新宿本店ビルが出来たのもこの年で同じ47歳、生まれは群馬です。勤務経験は渋谷と新宿界隈が多くて、地方勤務は1度もないんです。以前は新宿本店1階の文芸新刊の売り場を担当していましたが、現在は自然科学の担当です。
出久根 時代小説は江戸を中心に描かれているものが多いので、東京生まれと地方出身者とでは読み方が違うでしょうね。私は茨城県に昭和19年に生まれました。昭和34年に上京して古本屋の小僧になり、昭和48年に独立して杉並区で開業しました。店舗は畳んでしまいましたが、まだ古本屋の組合には入っております。今日も「古本屋の親父」として参加したいと思います。
-
『赤毛のアン論』松本侑子・著
ただいまこちらの本をプレゼントしております。奮ってご応募ください。
応募期間 2024/11/20~2024/11/28 賞品 『赤毛のアン論』松本侑子・著 5名様 ※プレゼントの応募には、本の話メールマガジンの登録が必要です。