書評

福島出身の著者が会津の名門、芦名家をデビュー作の題材に選んだ理由とは

文: 田口幹人 (書店員)

『会津執権の栄誉』(佐藤巖太郎 著)

『会津執権の栄誉』(佐藤巖太郎 著)

 鎌倉幕府の有力御家人、三浦氏の流れを汲む奥州の名門芦名家の衰退を描いた佐藤巖太郎の単行本デビュー作『会津執権の栄誉』がついに文庫化されるとの知らせが届いた。本書は、第7回「本屋が選ぶ時代小説大賞」を受賞し、第157回直木賞の候補作にも選ばれるなど、2017年の時代小説界を代表する作品である。そんな作品の解説をというお話をいただき、本当に僕でいいのだろうかと恐縮しつつ作品を読み直してみた。

「本屋が選ぶ時代小説大賞」は、読者のもっとも近くで本に関わっている書店員が集い、その年の「いま一番面白い時代小説」を選ぶというオール讀物が主催する文学賞である。文芸評論家の縄田一男氏と末國善己氏が本年度(前年10月から本年9月まで)の刊行作品から10作品を一次候補として選び、その中からオール讀物編集部で5作の最終候補作を決定し、全国の書店員を代表して5人の書店員による討議と投票によって決まるのが「本屋が選ぶ時代小説大賞」なのだ。僕は、第6回から選考委員を務めており、今回はそのご縁で解説を書かせていただいている。

会津執権の栄誉佐藤巖太郎

定価:本体650円+税発売日:2019年07月10日


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