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パリで『陰陽師』を朗読して

パリで『陰陽師』を朗読して

夢枕 獏

『陰陽師 蒼猴ノ巻』 (夢枕獏 著)

出典 : #文春文庫
ジャンル : #歴史・時代小説

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 で、もうひとつ。

 今回収められている『仙桃奇譚』について――

 このお話、実は、渡辺真理さんにテーマをいただいたものなんですね。

『陰陽師』のムック本を出すことになって、その中で、真理さんと対談させていただいたんですね。

 その時に、ぼくは調子にのって、次のようなことを真理さんにお願いいたしました。

「小説を書く時、ゼロの状態からアイデアを考えるより、何らかの制約があった方が作りやすいんです。ぜひ、何かお題をいただけませんか。次の『陰陽師』は、そのお題を素材にして書きますので――」

 それで、いただいたお題が、

「桃」

 でした。

 で、書いたのが『仙桃奇譚』。

 なかなかおもしろい話にしあがったと思っているのです。

 で、さらにもうひとつ。

 ぼくの書いている、『陰陽師』ではない別の物語のお話です。

 今年、これまでずっと中断していた『幻獣少年キマイラ』のシリーズをようやく再開いたしました。

 幻獣をその体内に宿してしまった、美しい少年の物語です。

 三〇年以上書き続けてきて、まだ終っておりません。

 連載しているのは朝日新聞出版の『一冊の本』です。

 ノベルスを朝日新聞出版から――

 文庫をKADOKAWAの角川文庫から、出させていただいています。

『陰陽師』と同様に、愛着ある物語です。

 そのことを、皆様にお知らせしておきたくて、この場をおかりいたしました。

 なんとも愛(かな)しく、なんとも美しい物語です。

 

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 というわけで、『陰陽師』、まだまだ続きます。

 よろしくどうぞ。

 

二〇一三年十一月十二日 小田原にて――

 夢枕獏公式ホームページ「蓬莱宮」アドレス
http://www.digiadv.co.jp/baku/

(「あとがき」より)

文春文庫
陰陽師 蒼猴ノ巻
夢枕獏

定価:748円(税込)発売日:2016年06月10日

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