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で、もうひとつ。
今回収められている『仙桃奇譚』について――
このお話、実は、渡辺真理さんにテーマをいただいたものなんですね。
『陰陽師』のムック本を出すことになって、その中で、真理さんと対談させていただいたんですね。
その時に、ぼくは調子にのって、次のようなことを真理さんにお願いいたしました。
「小説を書く時、ゼロの状態からアイデアを考えるより、何らかの制約があった方が作りやすいんです。ぜひ、何かお題をいただけませんか。次の『陰陽師』は、そのお題を素材にして書きますので――」
それで、いただいたお題が、
「桃」
でした。
で、書いたのが『仙桃奇譚』。
なかなかおもしろい話にしあがったと思っているのです。
で、さらにもうひとつ。
ぼくの書いている、『陰陽師』ではない別の物語のお話です。
今年、これまでずっと中断していた『幻獣少年キマイラ』のシリーズをようやく再開いたしました。
幻獣をその体内に宿してしまった、美しい少年の物語です。
三〇年以上書き続けてきて、まだ終っておりません。
連載しているのは朝日新聞出版の『一冊の本』です。
ノベルスを朝日新聞出版から――
文庫をKADOKAWAの角川文庫から、出させていただいています。
『陰陽師』と同様に、愛着ある物語です。
そのことを、皆様にお知らせしておきたくて、この場をおかりいたしました。
なんとも愛(かな)しく、なんとも美しい物語です。
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というわけで、『陰陽師』、まだまだ続きます。
よろしくどうぞ。
二〇一三年十一月十二日 小田原にて――
夢枕獏公式ホームページ「蓬莱宮」アドレス
http://www.digiadv.co.jp/baku/
(「あとがき」より)
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