- 2016.04.01
- 書評
LINEを爆速成長させた元CEOが明かす 飛躍する「狂気」を教えてくれた本
文:森川 亮 (LINE元CEO、C Channel CEO)
『新世代CEOの本棚』 (堀江貴文・森川亮・朝倉祐介・佐藤航陽・出雲充・迫俊亮・石川康晴・仲暁子・孫泰蔵・佐渡島庸平 著)
ジャンル :
#ノンフィクション
同じく、僕が長期的に影響を受けている本の2冊目は、『ビジョナリーカンパニー2 飛躍の法則』です。リーダーシップのスタイルが変わって、アートの領域というか、数字だけでは表せないところに価値を見いだして、それを追求していくというところに共感し、経営者として最も影響を受けました。
単純に安くていいものをつくれば売れる時代から、付加価値を生み出す時代に変わってきたので、それを具現化していくリーダーシップが重要なのかなというのが、自分なりの理解です。
リーダーシップに決まったかたちはありませんが、自分本位だとうまくいきません。ここはリーダーシップを発揮するけど、ここは任せるというのを、相手によって、状況によって、かなり細かく分けて考えないといけません。
たとえば、会社の調子がいいときと、うまくいっていないときでは、同じリーダーでも果たす役割が違います。潰れそうなときは、役員に対してはこう接するけど、部長に対しては違うやり方で接するとか、なるべく多くの引き出しを持っているほうがいい。リーダーはそういうパターンをどれだけたくさん持っているかが重要だと思います。
本を読むときも、特定の誰かに肩入れするというよりも、さまざまなパターンを取り入れたいので、このシーンではこの人のやり方、別のシーンではあの人のやり方というように、いいとこ取りをしています。その意味でも、『ビジョナリーカンパニー』シリーズは役に立ちます。
最新刊の『ビジョナリーカンパニー4 自分の意志で偉大になる』には、少し狂気に近いような経営者の事例が挙げられています。最近はやりの人工知能(AI)やビッグデータは、アルゴリズムの世界です。大量のデータを分析して、一番賢い選択肢を選ぶ。
しかし、経営者は時として、アルゴリズムではとらえきれない感覚的な判断を優先します。論理的に突き詰めていくと、絶対にそれは選ばないというものを、あえて選ぶときがある。同じことを賢く、賢くやっていくと、だんだんコストが下がってパターン化されるけれども、それだけでは飽きられてしまいます。
次の飛躍をもたらすのは、ある種の狂気です。誰も理解できないし、説明も分析もできないけれど、これだと思ったら信じてやり抜く。そういうパターンもあるということをこの本は教えてくれたのです。
-
『赤毛のアン論』松本侑子・著
ただいまこちらの本をプレゼントしております。奮ってご応募ください。
応募期間 2024/11/20~2024/11/28 賞品 『赤毛のアン論』松本侑子・著 5名様 ※プレゼントの応募には、本の話メールマガジンの登録が必要です。