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LINEを爆速成長させた元CEOが明かす 飛躍する「狂気」を教えてくれた本

LINEを爆速成長させた元CEOが明かす 飛躍する「狂気」を教えてくれた本

文:森川 亮 (LINE元CEO、C Channel CEO)

『新世代CEOの本棚』 (堀江貴文・森川亮・朝倉祐介・佐藤航陽・出雲充・迫俊亮・石川康晴・仲暁子・孫泰蔵・佐渡島庸平 著)


ジャンル : #ノンフィクション

 同じく、僕が長期的に影響を受けている本の2冊目は、『ビジョナリーカンパニー2 飛躍の法則』です。リーダーシップのスタイルが変わって、アートの領域というか、数字だけでは表せないところに価値を見いだして、それを追求していくというところに共感し、経営者として最も影響を受けました。

 単純に安くていいものをつくれば売れる時代から、付加価値を生み出す時代に変わってきたので、それを具現化していくリーダーシップが重要なのかなというのが、自分なりの理解です。

 リーダーシップに決まったかたちはありませんが、自分本位だとうまくいきません。ここはリーダーシップを発揮するけど、ここは任せるというのを、相手によって、状況によって、かなり細かく分けて考えないといけません。

 たとえば、会社の調子がいいときと、うまくいっていないときでは、同じリーダーでも果たす役割が違います。潰れそうなときは、役員に対してはこう接するけど、部長に対しては違うやり方で接するとか、なるべく多くの引き出しを持っているほうがいい。リーダーはそういうパターンをどれだけたくさん持っているかが重要だと思います。

 本を読むときも、特定の誰かに肩入れするというよりも、さまざまなパターンを取り入れたいので、このシーンではこの人のやり方、別のシーンではあの人のやり方というように、いいとこ取りをしています。その意味でも、『ビジョナリーカンパニー』シリーズは役に立ちます。

 最新刊の『ビジョナリーカンパニー4 自分の意志で偉大になる』には、少し狂気に近いような経営者の事例が挙げられています。最近はやりの人工知能(AI)やビッグデータは、アルゴリズムの世界です。大量のデータを分析して、一番賢い選択肢を選ぶ。

 しかし、経営者は時として、アルゴリズムではとらえきれない感覚的な判断を優先します。論理的に突き詰めていくと、絶対にそれは選ばないというものを、あえて選ぶときがある。同じことを賢く、賢くやっていくと、だんだんコストが下がってパターン化されるけれども、それだけでは飽きられてしまいます。

 次の飛躍をもたらすのは、ある種の狂気です。誰も理解できないし、説明も分析もできないけれど、これだと思ったら信じてやり抜く。そういうパターンもあるということをこの本は教えてくれたのです。

 

森川亮

森川亮(撮影:竹井俊晴)

1967年生まれ。日本テレビ、ソニーを経て、2003年にハンゲームジャパンへ入社。2007年10月、同社代表取締役社長に就任。同年11月、ネイバージャパン代表取締役社長に就任。2012年、NHN Japanの代表取締役社長に就任(後にLINEに社名変更)。2015年に退任。同年4月より女子向け動画サイトC Channel代表取締役社長に就任。

単行本
新世代CEOの本棚
堀江貴文 森川亮 朝倉祐介 佐藤航陽 出雲充 迫俊亮 石川康晴 仲暁子 孫泰蔵 佐渡島庸平

定価:1,540円(税込)発売日:2016年03月25日

プレゼント
  • 『赤毛のアン論』松本侑子・著

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