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日本とインドが手を携えれば、中国の危険な膨張を「抑え込む」ことは可能だ!

日本とインドが手を携えれば、中国の危険な膨張を「抑え込む」ことは可能だ!

文:櫻井 よしこ

『日本とインド いま結ばれる民主主義国家 中国「封じ込め」は可能か』 (櫻井よしこ・国家基本問題研究所 編)

出典 : #文春文庫
ジャンル : #ノンフィクション

 国際情勢の顕著な変化は13年1月、オバマ大統領が2期目就任演説で見せた内向き志向によって加速された。大統領はオバマ・ケアに象徴される医療・福祉改革など内政問題に多大の関心を示す一方で、国際社会の秩序維持や紛争解決にアメリカがこれまで果たしてきた大きな役割に、殆ど言及しなかったのだ。

 10年12月に始まったアラブの春と呼ばれるアラブ諸国の民主化運動は、チュニジア(ベン・アリ大統領が11年1月14日に逃亡)、エジプト(11年2月11日、ムバラク大統領が辞任)、リビア(11年10月20日、カダフィ大佐射殺)へと瞬(またた)く間に広がり、長期軍事独裁政権を倒した。だが、民主化の動きがシリアに達したとき、阻止行動に出たのがロシアと中国だった。両国がアサド大統領を擁護したことから、国連の対シリア非難決議は阻止され続けた。アサド大統領は国軍をして国民を攻撃せしめ、化学兵器のサリンまで使用した。14年9月現在で、死者は少なくとも19万人に上る。

 にも拘わらず、オバマ大統領はシリアに軍事介入せず、13年9月10日、不介入の究極の理由として「アメリカは世界の警察官ではない」と全米向け演説で語った。その主張は2期目就任演説と精神において重なり、オバマ氏が自らに課した歴史的使命、つまり、海外の戦争からの「米軍撤退」を再確認するものだった。

 オバマ大統領はすでに11年末にはイラクから全米軍を撤退させ、14年中にはアフガニスタンからも戦闘部隊を撤退予定である。米国の内向き姿勢の結果、国際社会に生じた空白に間髪を入れずに侵入し始めたのがロシア、中国及びテロリスト勢力である。

 14年3月、プーチン大統領は電光石火の速度でウクライナ共和国からクリミア半島を奪った。中国共産党は、ロシアのクリミア併合を党機関紙「人民日報」の国際版「環球時報」の3月20日付社説でざっと以下のように解説した。

・ウクライナの側に立った西側諸国は国際法や国際条約を尊べとの美しい言葉を述べた。

・だが、世界第二の核保有大国であるロシアとの戦争のリスクをとる国は存在しなかった。それ故に、西側諸国の美しい言葉は無意味だった。

・国際社会では圧倒的な軍事力の優位性を保つ国の主張を、軍事的劣位にある国は受け入れざるを得ない。

・中国はロシアvs.ウクライナのような圧倒的軍事優勢を対周辺国で、現在、確立しているわけではない。しかしそれは時間の問題である。

・中国が軍事的優勢を確立したときには、周辺国は中国に従わざるを得ない。

 中国のこうした分析は、日本及び周辺諸国への警告である。2014年も、12.2%という軍事費の伸び率を保つ中国の意図を、隣国の日本はどの国よりも明確に読みとる必要がある。

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日本とインド いま結ばれる民主主義国家 中国「封じ込め」は可能か
櫻井よしこ・国家基本問題研究所・編

定価:本体700円+税 発売日:2014年11月07日

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