インタビューほか

手紙こそ親から受け取る素晴らしい財産――千住真理子さんインタビュー(中編)

「本の話」編集部

『千住家、母娘の往復書簡 母のがん、心臓病を乗り越えて』 (千住真理子・千住文子 著)

いつも子どもたちの味方にいる母が叱るとき

父が亡くなる数ヶ月前、兄妹3人で初めて行ったリサイタルで。(2000年)

――どういうときにお母さまは叱るんですか?

千住 本当に純粋な人なので、嘘をつくとものすごい怒ったり、辻褄が合わないことを親に言うと、「親に対しては正直に言いなさい、ダメなんて言ったことないでしょ。もの分かりの悪い親だと思っているのか」と。要するに、お互いにもっと理解し合おう、というわけですね。

――お母さまがお父さまをすごく尊敬されていた、そういうところも3人の仲の良さに影響しているのでしょうか?

千住 す~ごく尊敬していましたね、「本当にお父ちゃまは偉い人なんだ」と常に言っていたし。かと言って、何かべたべたするような感じではなくて、本当に昔の人たちだから私たち子どもの前でベタベタするような事は一切なかった。ただただ母は父を尊敬していました。

――今回、文庫の解説をお兄さま2人に書いていただきましたが、いかがでしたか?

千住 (笑いながら)あぁもう本当に、博は博らしく、明は明らしくっていうのが本当に出ているなと思って。読みながら笑ったり、ぐっと胸にきたりしました。博兄が母の亡骸と一緒に夜過ごす場面では、「え、もう帰っちゃうの?」と取り残された兄の不安そうな様子をよく覚えていますし、明兄の場合も本当に心配性というか、母と一番よく似た人が明なんですよね。

――どんなところが明さんはお母さまに似ているんですか?

千住 すごく心配性で、ものすごく気を遣って、それで愛情深いんですよ、明兄は。私や博兄のようにサバサバしてないんです。それが文章に出ていますね。

写真提供:千住真理子


「手紙こそ親から受け取る素晴らしい財産――千住真理子さんインタビュー(後編)」に続く

千住真理子(せんじゅまりこ)

ヴァイオリニスト。12歳でN響と共演しプロデビュー。15歳の時日本音楽コンクールに最年少で優勝し、レウカディア賞受賞。1979年、パガニーニ国際コンクールに最年少で入賞。85年、慶応義塾大学卒。87年にロンドン、88年にローマ、99年にNYでデビュー。93年文化庁「芸術作品賞」、94年村松賞、95年モービル音楽賞奨励賞受賞。2002年、ストラディヴァリウス「デュランティ」と運命的な出会いをする。国内外で演奏活動をしている。著書に『聞いて、ヴァイオリンの詩』『ヴァイオリニストは音になる』など。


千住文子(せんじゅふみこ)

エッセイスト、教育評論家。明治製菓株式会社研究所薬品研究室研究員として抗生物質開発の研究に携わる。退職後、慶応義塾大学名誉教授、工学博士の千住鎮雄(2000年没)と結婚。日本画家の長男・博、作曲家の次男・明、ヴァイオリニストの長女・真理子を育てる。2013年6月永眠。著書に『千住家の教育白書』『千住家にストラディヴァリウスが来た日』『千住家の命の物語』など。

千住家、母娘の往復書簡 母のがん、心臓病を乗り越えて
千住真理子・千住文子 著

定価:本体670円+税 発売日:2015年12月04日

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