
仕事とは何か

プレッシャーのない仕事なんかない。仕事に限らず、なんでもそうだ。嵐もあれば日照りもある。それを乗り越える力があってこそ、仕事は成立する
いろんな奴がいる。それが世の中です。そいつらから目を背けていては人生は切り拓けない。会社の将来もです
世の流れは読めない。人は思い通りには動かない。周囲の人々に語る言葉からわかるように、半沢も自分の限界を知っている。そのうえで「今、ここで生きていく」と決める大人の強さが、求められているのだ。
仕事は客のためにするもんだ。ひいては世の中のためにする。その大原則を忘れたとき、人は自分のためだけに仕事をするようになる。自分のためにした仕事は内向きで、卑屈で、身勝手な都合で醜く歪んでいく。そういう連中が増えれば、当然組織も腐っていく。組織が腐れば、世の中も腐る
収入を得るため。人に認められるため。若い頃、仕事の意味と価値は、とかく近視眼的に捉えられがちである。だから、半沢は部下に投げかける。自分のためだけでなく、誰かのためにする仕事こそが本物であり、本筋なのだと。
実は、仕事に慣れたベテラン世代こそが、このことを忘れがちになっているのかもしれない。思わずハッとさせられるフレーズ。
簡単なことさ。正しいことを正しいといえること。世の中の常識と組織の常識を一致させること。ただ、それだけのことだ。ひたむきで誠実に働いた者がきちんと評価される。そんな当たり前のことさえ、いまの組織はできていない
全ての働く人は、自分を必要とされる場所にいて、そこで活躍するのが一番幸せなんだ。会社の大小なんて関係がない。知名度も。オレたちが追求すべきは看板じゃなく、中味だ
あなたの信念とは? 作中、部下にたびたび問われ、半沢はその都度、丁寧に語り聞かせる。真面目に働いた者がフェアに認められること。そして、誰もが自分の天分と天命をわきまえ、一度きりの人生を充実させること。シンプルで力強い、仕事人・半沢直樹の幸福論、その真髄。
戦え、森山(部下の名前)。そしてオレも戦う。誰かが、そうやって戦っている以上、世の中は捨てたもんじゃない。そう信じることが大切なんじゃないだろうか
半沢対銀行、個人対組織。終盤までギリギリの攻防が繰り広げられる『ロスジェネ~』。その中で繰り返し語られるのは、望みを自ら勝ち取ることの尊さである。
実際、こうしてセリフを抜き出して胸で反芻するだけで、写経効果(?)なのか、何となく目の前が開けていくような気が……。半沢の物語は、すべての働く人の明日に繋がっている、と信じたい。