今度の半沢直樹はIT業界が舞台。人気のゲーム「モンスターストライク」の責任者、木村弘毅さん(ミクシィ 取締役 「XFLAG」 スタジオ 総監督)は池井戸作品の大ファン。「エンタテインメントとしての爽快感が抜群」という。実は、モンストと半沢直樹は似ている面があるそうだ。爽快感に隠された秘密とは?
エンタテインメントとしての爽快感が抜群
――池井戸潤作品のファンだそうですね。どんなところが魅力ですか?
池井戸先生の作品は、悪い奴がいて、必ずその主人公が窮地に立たされて、そこから大逆転するというところが、エンタテインメントとしての爽快感が抜群だなと思っています。『ロスジェネの逆襲』も、池井戸先生らしい大逆転劇が楽しめました。
僕らが作っているモンスターストライクというゲームとすごく似通っていると思います。モンストの場合も、実は大逆転劇というのを演出しているんですね。敵の強いボスがいて、やられる。窮地に立たされた時に、必殺技で大逆転する。僕らは「緊張と緩和」と呼んでいるんですが、池井戸先生の作品を読むと「緊張と緩和」が大事なんだな、ということをいつも感じています。
――木村さんのお父様が半沢直樹と同じ銀行員。木村さんはIT業界の人。『ロスジェネの逆襲』の世界を身近に感じる部分がありましたか?
まさしく父は銀行の営業をやっていて、私は子どもの頃は「父のようにはなりたくない」と思っていたんですね。お金という、ある種「無機質なもの」「色のないもの」を取り扱って何が面白いんだろう? 何でそんなことにエネルギーを傾けられるんだろう? と思っていました。だから、エンタメ業界に行きたかった。エンタテインメントで一番楽しいのは何かといえば、根源にあるのはコミュニケーションです。それをビジネスとして一番伸ばしていけるのはITだと思ってこの世界に入りました。
ところが半沢直樹のシリーズを読んで「銀行の中のバトルってこんなに楽しいんだな、こんなに充実した闘いが銀行のなかにあるんだな」と思って、父のことを改めてスゴイなと思いました。
――そのお父様が銀行を辞めて事業を起こされた。池井戸作品に描かれるような、中小企業の経営、資金繰りなどの描写も身近に思われたことがあるのでは?
父の会社も、資金繰りや、手形を取り扱って「流れたらどうしようか」という悩みは常にあって、色んな金融機関に支えられている面がありました。まあ、池井戸先生の小説に描かれている会社ほど苦しんではいなかったですけど、「そう、そう、そう」と思いながら読んだ部分はありました。中小企業の側面というのも上手く描いていらっしゃるなと思います。
-
『赤毛のアン論』松本侑子・著
ただいまこちらの本をプレゼントしております。奮ってご応募ください。
応募期間 2024/11/20~2024/11/28 賞品 『赤毛のアン論』松本侑子・著 5名様 ※プレゼントの応募には、本の話メールマガジンの登録が必要です。