2018.06.21 書評

アメリカでの取材に同行して感じた、著者の温かくも厳しい“眼”

文: 宮田文久 (フリーランス編集者)

『黄金の時』(堂場瞬一 著)

『黄金の時』(堂場瞬一 著)

 私は今、カリフォルニアの風に身を晒している。

 それは過去から吹く風でもあった。

 

 印象的な出だしで始まる長編小説『黄金の時』は、堂場さんと現地アメリカへ取材旅行に赴いた一人の編集者としても、読み返すたびに軽やかに吹き抜けていく「過去からの風」のような存在です。

 時は2013年10月。雑誌『Sports Graphic Number』で年末から連載を開始するにあたり、堂場さんと編集者2名の計3名で、4泊6日のアメリカ取材へ飛び立ちました。

 サンフランシスコに降り立ち、ストックトンやサクラメント、サンノゼを巡り、球場も見学。内陸へ移動して、秋季の教育リーグであるアリゾナ・フォールリーグの試合を観戦。そして再びサンフランシスコへ――。

 と言っても、当時の私は20代半ば。ナンバー編集部員としてのみならず、編集者自体としても赤ん坊に毛が生えたようなもので、堂場さんと先輩デスクの後ろから、金魚の糞のようについていくだけの役立たずでした。

 しかしそんな青二才だからこそ、この旅路で何度も目の当たりにした、堂場さんの鋭い“眼差し”は強烈なものでした。



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