- 2018.06.22
- 書評
こんなカッコいい男はいない!――逆境に負けないために読むべき本(あとがき)
文:高杉 良
『懲戒解雇』(高杉 良 著)
出典 : #文春文庫
ジャンル :
#エンタメ・ミステリ
所沢さんは名誉を回復するが、あれほどの大騒動を引き起こして、元の鞘に収まることはまずありえない。出向となり、会社を去った。しかし、所沢さんはやはり並みのサラリーマンではなかった。日本エネルギー経済研究所や日本インドネシア科学技術フォーラム日本委員会に籍を置くや、まるで水を得た魚のように活躍した。やがてインドネシアといえば彼の名前が挙がるほどになり、インドネシアの最高顧問といった待遇で、最大級の勲章を授与された。彼の後半生もまるで小説のように面白い。つまり、彼は出来過ぎなのだ。一匹狼に鷹揚な時代背景があったことも否めないが、いまでも所沢さんの生き方に学ぶべきところはあると思う。人間万事塞翁が馬。人間到る処青山あり。どんな不条理な扱いを受けても、腐らずに再び一からやり直せば、新天地を切り開けるはずだ。
この二十年間、大病らしい大病はなく、健康なことが自慢であったが、昨年から短い間に、いくつか病を得た。詳細は省くが、視力が落ち、原稿のマス目が見えづらく、拡大鏡を使っての作業に難儀している。なぜこんな辛い目に遭うのかと辟易したが、改めて新天地に気づかされた。私は、まだ書きたいことがある。(談)
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