書評

こんなカッコいい男はいない!――逆境に負けないために読むべき本(あとがき)

文: 高杉 良

『懲戒解雇』(高杉 良 著)

『懲戒解雇』(高杉 良 著)

所沢さんは名誉を回復するが、あれほどの大騒動を引き起こして、元の鞘に収まることはまずありえない。出向となり、会社を去った。しかし、所沢さんはやはり並みのサラリーマンではなかった。日本エネルギー経済研究所や日本インドネシア科学技術フォーラム日本委員会に籍を置くや、まるで水を得た魚のように活躍した。やがてインドネシアといえば彼の名前が挙がるほどになり、インドネシアの最高顧問といった待遇で、最大級の勲章を授与された。彼の後半生もまるで小説のように面白い。つまり、彼は出来過ぎなのだ。一匹狼に鷹揚な時代背景があったことも否めないが、いまでも所沢さんの生き方に学ぶべきところはあると思う。人間万事塞翁が馬。人間到る処青山あり。どんな不条理な扱いを受けても、腐らずに再び一からやり直せば、新天地を切り開けるはずだ。

 この二十年間、大病らしい大病はなく、健康なことが自慢であったが、昨年から短い間に、いくつか病を得た。詳細は省くが、視力が落ち、原稿のマス目が見えづらく、拡大鏡を使っての作業に難儀している。なぜこんな辛い目に遭うのかと辟易したが、改めて新天地に気づかされた。私は、まだ書きたいことがある。(談)

懲戒解雇高杉 良

定価:本体800円+税発売日:2018年06月08日


 こちらもおすすめ
書評なぜ辞令はかくも不条理なのか――「組織と人間」を見つめる人事小説の傑作(2017.11.30)
書評虚実超えたリアリティー 経済小説の地平拓く(2017.03.10)