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【特別対談】林真理子×髙見澤俊彦「小説から音が見えてくる」#3

【特別対談】林真理子×髙見澤俊彦「小説から音が見えてくる」#3

出典 : #オール讀物
ジャンル : #エンタメ・ミステリ

『音叉』(髙見澤俊彦 著)

 小説のほうが遥かに正直な自分が出てしまうんですよね。
エッセイなんて、今こういう世の中だから、どんどん本当のことが書きづらくなってきた。とにかくいろいろと気をつけて書かないと「炎上」してしまう。

髙見澤 自分の思ったことと違う取り方をされてしまう時代ですよね。

 そうなんです。意味を取り違えられたような話もネットで拡散されてしまう。例えば「週刊文春」に書いたエッセイの一文が批判されたとしても、その元の記事なんて読んでない。

髙見澤 言葉の一部だけが広がっていく。

 最近も元アイドルの国会議員が、大阪の地震について「心よりお見舞い申し上げます」とツイートしたら、「安全なところから何を言ってんだ」と炎上したって。何が悪いの?って思いますよ。

髙見澤 ネット社会のおかしいところですよね。小説で描いた七〇年代なんてネットも携帯もない時代ですが、もっと人とのがりが大らかだったような……。今はLINEとかで、常に人とがってはいますけどね。

 あの頃は行けば会える場所があった。

髙見澤 そうでしたね。その場所に行くか、手紙か、固定電話か。

 私は友達の下宿によく訪ねていきましたね。夜ひとりで歩いて。いないと「銭湯に行ったのかな」とか思って、そばの公園でしばらく待っている。昔の学生はそんな夜遊びしないから、不在でも十時にはちゃんと帰ってくる。

髙見澤 あの頃は、待ち合わせしていなくても会えました。

音叉
髙見澤俊彦

定価:本体1,700円+税発売日:2018年07月13日

音叉
髙見澤俊彦

発売日:2018年12月22日

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