この比喩でいえば、三角形の経営者は一義的に位置エネルギーを求める。「代表取締役社長」とか「CEO」のポジションは、予算や人事の権限、社内外での権威など経営者に大きな位置エネルギーをもたらす。組織が大きいほど、経営者の位置エネルギーもまた大きくなる。
一方、矢印の経営者の生命線は運動エネルギーにある。本来の経営という仕事は、いずれも「何をするのか」「何を達成したいのか」という行動を問うものであり、経営者の運動エネルギーにかかっている。三角形の経営者には代わりがいくらでもいる。しかし、矢印の経営者は、その人がいないと始まらない。昔も今もこれからも、経営者の運動エネルギーはビジネスの成果を最も大きく左右する要因の一つである。
三角形の頂点をめざして偉くなりたい人はたくさんいる。三角形の経営者はいつの時代も供給過剰だ。だから限られたポストをめぐり組織の中で熾烈な競争が起こる。企業経営の停滞や迷走の背景には、いつも三角形の経営者の跳梁跋扈と矢印の経営者の不在がある。
なぜそうなるのか。その理由は、多くの人が人間の本能的習性から「エネルギー保存の法則」に嵌(はま)るからである。
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