書評

17歳のときにこの小説に出会っていたら……5人の少女たちへの願いとエール

文: 枝 優花 (映画監督)

『17歳のうた』(坂井希久子 著)

『17歳のうた』(坂井希久子 著)

 Owner of a Lonely Heart

 

 彩葉は誰かに頼ることが苦手で、いつも一人で選択してきた。誰かに頼ることは迷惑になる、自分ごときがそんなことをしてはいけない。そして誰かに頼ることは疲れる。迷惑かな? 大丈夫かな、ああこんなに不安になるのなら私一人でやればよかったと思ってしまう。ならば最初から頼ることをやめればいい。そうやって知らず知らずのうちに誰かを裏切っては傷つけてきたのが彩葉だ。これはとてもよくわかる。誰かを守るためにした選択が間違っているとわかるのは、いつだって手遅れになってからだ。そういった勘違いを何度も繰り返し「一人で生きていける」という考えが、いかに自分勝手で子供であるかということに気付かされる。私はそういう失敗を繰り返し、最近ようやく理解してきたわけだが(と言いつつ今でもたまに他者を裏切ってしまう瞬間がある)、彩葉は屋形のおかあさんからの言葉によってジワジワと日常に染みこむように、実感していく様子が本作には描かれていてホッとする。「行動こそが、人を形作る。すべての選択が、自分自身なのだ」と。いつか誰かが言っていたのだが、何かを選択するとき迷ったら直感で選ぶと良いらしい。それは運に任せろ! という無責任なアドバイスではなく、人は身体に染み付いた経験則から本能的に良い選択ができるようになっているらしい。だからもしこの先、彼女が再び迷うことがあっても過去の自分を信じて未来に飛び込んでみてほしいと、願ってしまった。

17歳のうた坂井希久子

定価:本体750円+税発売日:2019年05月09日


 こちらもおすすめ
インタビューほか舞妓、アイドル、マイルドヤンキー。17歳のそれぞれの生き方(2016.11.13)