書評

17歳のときにこの小説に出会っていたら……5人の少女たちへの願いとエール

文: 枝 優花 (映画監督)

『17歳のうた』(坂井希久子 著)

『17歳のうた』(坂井希久子 著)

 歳を重ねることと、大人になることは同列なのだろうか。「大人になるって何ですか?」と10代の子から質問を受けることが度々ある。20歳になったら? お酒を飲めるようになったら? お金を稼いで自立したら? 子供を産んだら? 何だろうか。そしてハッとする。そうか、この子達から見たら私は「大人」なのか。

 今年25歳になる。正直17歳の頃と何も変わっていない。変わったことといえば、お酒が飲めるようになり、自分でお金を稼ぎ生活をしている。これぐらいだ。あとは、「仕方がない」という言葉を覚えたし、物分かりが少し良くなった気がする。成人式のときに大人たちから「もうこれで立派な大人の仲間入りだ」と声をかけられる。昨日の私と今日の私は何も違わないのに、世間は線引きをすることに戸惑った。

 こうして中途半端に境界線を超えた人間がこの「17歳のうた」を読んで感じたことを綴りたい。地方都市で生きる17歳・5人のそれぞれの物語。5つの物語には、どれも17歳の少女たちの迷いや苛立ち、言葉にできない胸の痞(つか)えが丁寧に綴られている。そして5つの歌がそれぞれの物語にプレゼントされている。全て読み終えた後に、坂井さんからのギフトである5つの歌を聴いた私は「17歳の時に出会っていたらどうだったかな」と少しばかり悔しくなる。

17歳のうた坂井希久子

定価:本体750円+税発売日:2019年05月09日


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