実際に現場で対応を迫られる教師たちは、学習指導要領の大幅な改訂をどのように受け止め、いかなる対策を準備しているのか。国語教科書の編集に長く携わってきた文芸評論家・伊藤氏貴氏の司会のもと、三名の現役高校教師が、文学教材の大切さと国語教育の本質を語り合う白熱の座談会。
新入試に対策は不要?
伊藤 現在、文部科学省が大きな改革を進めています。ざっと三つに分けると、一つが大学の人文科学系の変革。これに関しては、もう文学部を廃止した大学もあります。二つ目に、入試が変わります。大学入試センター試験(以下、センター試験)が二〇二〇年一月で廃止になり、二〇二〇年度からは「大学入学共通テスト」(以下、共通テスト)が始まるわけです。共通テストとセンター試験の大きな違いは、国語に新たに「実用文(資料読解)」が加わり、また、一つの大問における問題文が複数になり、さらに、「記述式」が新たに加わる、というものです。
こうした入試の変革に伴って、指導要領が変わります。これが三つ目。現在の高校のカリキュラムでは高校一年生で履修することになっている「国語総合」が、「現代の国語」と「言語文化」という二科目に分かれます。また、高校二、三年生次に配当されていた「現代文B」が「論理国語」と「文学国語」に分かれ、実質的にどちらか一方のみを選択するということになるわけです。「現代の国語」や「論理国語」とは何か。これは、要するに、実際の生活に必要な実用的な文章を読む、というもの。これまでの文学的な作品や評論をそこでは扱ってはいけないということになりました。
こうして国語教育が大きく変わるなか、現場の先生は何を感じ、どのように対策されているのかをお聞きしたく、本日は、これからの現場を担う比較的若手の三名の現役高校教師の方々にお越しいただいています。
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