
小説を読み返す面白さ
ジェーン 山田さんの小説やエッセイの細かいところを、とにかくたくさん覚えているんです。『ベッドタイムアイズ』が映画化されたときに、樋口可南子さんのシャワーの浴び方がいやらしくて気に食わないってどこかに書いてらっしゃったのも覚えてます。もっとジャバッと浴びればかっこいいのに、セクシービデオみたいに浴びていて、あれは違うと思ったって。
山田 あれは監督が神代(くましろ)辰巳さんなんだけど、できあがってビックリ。進駐軍の映画みたいになってて。そうかと思うと、樋口さんのところだけ妙にきれいきれいに撮ろうとして、ちょっと失敗してたっていう感じ。もっと雑にダウンタウンな感じで撮ってほしかったんだけど。
ジェーン そういう審美眼のひとつひとつが、当時の自分にとっては憧れというか、学ぶべきお作法だったんですよね。『ぼくは勉強ができない』なんかまさにそうで。
山田 小説を読むときの楽しみって、そのディテイルをピックアップするという楽しみはあるよね。
ジェーン そうですね。書かれている英語の文章をちょっと覚えたりとかしたりして。でもじつは、当時は主人公の秀美(ひでみ)のことがあんまり好きじゃなかったんですよ。もちろん憧れがあったものの、あの頃は彼と歳が近かったものだから、「わかった顔しちゃって」みたいな感じでいけ好かなくて。いま思えば、クラスメイトみたいな感覚で彼に反発を感じていたんです。
こちらもおすすめ
イベント
ページの先頭へ戻る