- 2019.12.02
- インタビュー・対談
〈佐々木譲 新人賞受賞40周年インタビュー〉書くことは、変わり続けること
「オール讀物」編集部
オール讀物新人賞『鉄騎兵、跳んだ』から40年の日々
出典 : #オール讀物
ジャンル :
#エンタメ・ミステリ
なぜ、歴史小説を?
アメリカに行く前から、「バイク小説以外のものを書きたい」とアピールし、サスペンスやハードボイルド小説を書き始めてはいました。でも、事故のリハビリで小説を書けない時期があり、帰国後に仕事があるのかという危機感を持っていましたから、『ベルリン飛行指令』が好評をもって迎えられた時は、本当にホッとしました。
──『エトロフ発緊急電』『ストックホルムの密使』と続く「第2次大戦3部作」が高い評価をえた後、冒険小説から歴史小説へとしだいに分野を広げていきますね。
本格的な歴史小説は『武揚伝』(2001年)が最初だと思うけれども、『武揚伝』の前に箱館戦争の後日談を書いています。箱館戦争は冒険小説の題材としても面白そうだと注目し、ずいぶん前から榎本武揚を調べてはいた。だけど、箱館戦争を書くには、幕末、ひいては明治維新史を知っておかねばなりません。勉強と資料集めが大変だったので、『武揚伝』にとりかかる前に、まず箱館戦争の後日談を『五稜郭残党伝』(91年)として書き、さらに蓄積を重ねてようやく榎本武揚を描くことができたわけです。
そこからしばらく歴史小説が続いたのは、自分では“スピンオフ”だと認識しています。たとえば五稜郭を見ると、きれいに積まれた石垣に目が行く。するとその前段階の戦国時代の石積みに関心がむき、職工集団である穴太衆(あのうしゅう)にまでさかのぼって『天下城』(04年)を書く。五稜郭の星形要塞、いわゆる稜堡(りょうほ)式城郭のルーツも気になって、西洋の築城の歴史を調べて『獅子の城塞』(13年)を書く……というように、すべての関心はつながっているんです。
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