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〈佐々木譲 新人賞受賞40周年インタビュー〉書くことは、変わり続けること

〈佐々木譲 新人賞受賞40周年インタビュー〉書くことは、変わり続けること

「オール讀物」編集部

オール讀物新人賞『鉄騎兵、跳んだ』から40年の日々

出典 : #オール讀物
ジャンル : #エンタメ・ミステリ

受賞後1年間の修業時代、そして運命を変えたバイク事故──ベテラン作家が書き続けるための“秘訣”をはじめて明かした


佐々木譲さん

 ──1979年、「鉄騎兵、跳んだ」で第55回オール讀物新人賞を受賞されてから、ちょうど40年になりました。

 新人賞をいただいた時、担当についてくれた編集者Nさんからの第一声は、「プロの作家になるつもりはありますか」でした。新人賞に応募しておいて「ない」という返事はありえない。当然、「はい」と答えますよね。そしたら「1年間、僕についてきてください」と。「毎月1本、60枚の短編を書いてきてください」と課題を与えられたのです。そしてもう一つ、「会社は辞めないでくださいね」とも(笑)。

 言われるがまま、ひと月に1本、原稿を書きました。もちろん雑誌に載せるために書くのではなく、修業として、習作として書くのです。初めのうち、かなり細かく表現を直されました。私はアメリカンハードボイルドを愛読していたので、ついチャンドラー風のレトリックを使いがちだった。そういう表現がわずかでも原稿に出ていると、厳しくチェックされました。「4文字熟語を使わないように。できれば2文字の熟語も使ってほしくない」とも言われましたね。

 さらに、小説中に出した小道具の意味を必ず聞かれるんです。問われて「これは〇〇の暗喩です」とか、「彼と彼との対比を表す象徴的な意味合いで書いた」などと即答できないと、非常に気まずい思いをする(笑)。

 修業時代は1年続きました。池波正太郎さん、藤沢周平さんが活躍していた時代の「オール讀物」ですから、なかなか新人の入る余地はない。それでも1年の間に、2本、載せてもらったことは覚えています。どなたかベテランの原稿が落ちた時の代打としてです。そうこうしているうち、翌80年、「鉄騎兵、跳んだ」が日活で映画になるというので、書きためていた原稿からスポーツを題材にしたものを6本集め、映画に合わせて単行本を出すことができた。それを機に修業時代は終わり、Nさんからは「よその雑誌から声がかかったら積極的に引き受けてください」と言われました。

【「引き出しが少ない」という危機感】

文春文庫
鉄騎兵、跳んだ
佐々木譲

定価:565円(税込)発売日:2010年05月07日

文春文庫
代官山コールドケース
佐々木譲

定価:803円(税込)発売日:2015年12月04日

文春文庫
地層捜査
佐々木譲

定価:836円(税込)発売日:2014年07月10日

文春文庫
廃墟に乞う
佐々木譲

定価:693円(税込)発売日:2012年01月04日

文春文庫
ユニット
佐々木譲

定価:847円(税込)発売日:2005年12月06日

文春文庫
勇士は還らず
佐々木譲

定価:933円(税込)発売日:2011年08月04日

文春文庫
ワシントン封印工作
佐々木譲

定価:1,005円(税込)発売日:2010年10月08日

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