
食エッセイを読む時のポイントは「憧れ」か「共感」である。
「憧れ」は、書かれた食べ物に対して「これを食べてみたい!」、お店なら「行ってみたい!」と思わせることだ。書き手としては、いかにそこへ誘いこむかが、腕の見せ所になる。そしてもう一つ、「共感」とはすなわち──。
「あ、これ、食べたことがある」。
例えばドイツのカリーヴルスト。僕はこれを、数年前にベルリンへ取材に行った時に食べた。どうしても食べたかったわけではなく、ドイツ名物だと聞いていたので、取り敢えず「済」マークをつけておくか、という軽い感覚だったのだが。
この時は正直、首を捻った。カリーヴルスト=カレーソーセージ。どちらも日本人に馴染みの深い食べ物だから、二つを組み合わせた味もだいたい想像がつく。ところが出てきたものを見ると、ちょっとしなっとした白っぽいソーセージに大量のケチャップ、その上にカレー粉……カレー粉? まずそのビジュアルに衝撃を受けた。いやこれ、ソーセージにケチャップとカレー粉をかけただけでしょう? もうちょっと料理してくれよ、と文句を言いたくなった。
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