2014.03.21 インタビュー・対談

[文庫化記念対談]
皆川 明×平松洋子
トレンドを超越するテキスタイル・デザインの力

『ミナを着て旅に出よう』 (皆川明 著)

[文庫化記念対談]<br />皆川 明×平松洋子<br />トレンドを超越するテキスタイル・デザインの力

『ミナを着て旅に出よう』の文庫化を記念して、ミナ ペルホネン(以下、ミナ)のデザイナー皆川明さんと、エッセイストの平松洋子さんとの対談を行った。オリジナル生地によるミナの服作りは国内外で高く評価される。皆川さんの仕事に長年敬意を抱いていたという平松さんがミナの直営店を訪ねた。

皆川 ここ白金台のショップは、私が立ち上げた最初のお店です。現在は改装していますが、2000年のオープン当時は、このフロアの奥にアトリエがあってカーテン1枚で仕切っていました。服を作る場所と売る場所がパン屋さんのように1つになっていてもいいかなと(笑)。お店が少しわかりづらい場所なので、最初はずいぶん問い合わせを頂きました。

平松 とても居心地のいい空間ですね。私の友達には「ミナ」の熱心なファンがたくさんいるんですが、10年着続けてなお、ひとつひとつの服が「宝物」だと言っています。

皆川 そうやって長く着て頂けるのが何よりも嬉しいです。長く使ってもらいたいから、ミナの洋服はどんなに古いものでもお直しを受けつけています。

平松 それができるのも生地からオリジナルで作っていらっしゃるからですね。その姿勢が、着る人に確実に伝わっているのだと思います。ファッション業界の中では数少ないスタイルではないでしょうか。

皆川 一部、三宅一生さんやコム・デ・ギャルソンも生地から作っていますが、業界全体でいうと1パーセントあるかないかだと思います。生地から作ると服になるまで1年半程度かかりますから、現在の短いサイクルの服作りでは難しいでしょう。僕はもともと、ファッションが半年単位で消費されることへの疑問が強くありました。祖父が家具屋だったので、家具は何10年も使うのに、なぜ服だけが半年なんだろうと。

平松 業界のトレンドに距離を置いていらっしゃる。でも、とても素敵に見えたのに数年経つと古く見えがちなファッションの宿命を、どんなふうに捉えていますか。

皆川 それは避けきれない要素ですが、惑星のようなイメージで何年か周期で着て頂けたらと思うんです(笑)。月とか太陽みたいに短いサイクルで回ってくるものもあれば、天王星みたいにしばらく回ってこないけれど捨てられない、場合によっては子供が着るかもしれないものもある。

平松 すごく力強い言葉ですね。もの作りの原点が超ロングスパンで捉えられている。一番最初に女性服を作ってみようと思ったきっかけは何でしたか。

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『ミナを着て旅に出よう』
皆川 明・著

定価:460円+税 発売日:2014年03月07日

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