インタビューほか

野生のシカの味、熱いコロッケの味

平松洋子

『食べる私』(平松洋子 著)

『食べる私』(平松洋子 著)

 食べものについて語れば、人間の核心が見えてくる。

 その理由はとても簡単だ。食べることは、生きること。生きとし生けるものは、食べる行為から逃がれることはできない。何を食べるか、誰とどう食べてきたか、何を食べないか、食べてこなかったか。食について思考をめぐらせる言葉はみずからの生の証しである。そして紡ぎだされるのは、血湧き肉躍る自由と放浪の物語だ。

 本書は、二〇一三年三月号から足かけ三年、「オール讀物」に掲載された「この人のいまの味」をまとめた一冊である。各回どなたにお話を伺うか、連載の担当編集者、角田国彦さんと膝を突き合わせて考えた。書面で依頼状をお送りすると、どの方も快く引き受けてくださったことがありがたく、お会いする日まで関係資料を読みこんで場に臨んだ。種々の資料や著作に目を通していると、食べものについて書かれていなくとも、朧気(おぼろげ)ながら食の手触りのようなものが彼方に浮上する気がするのは不思議なことだった。

食べる私平松洋子

定価:本体780円+税発売日:2019年04月10日


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