――特に好きな場面や登場人物は?
カオリ 私は、藤子と里見くんの大学時代から続く関係性がとても好きです。性別とか恋愛とかを超えて、ただ一緒にいられる存在って年をおうごとに貴重になっていくものなので。色恋にわずらわされない二人がこたつや鍋をはさんでだらだらしてたりする場面が印象に残っています。
ユミコ 里見くん、いいですよね。落ち込んでいる藤子を特に慰めるわけでもなく、ただ横で黙って本を読んでいる感じが。
マナ もちろん藤子に一番感情移入しながら読んだんですけど、私が好きなのは全さんの助手の三木さんです。有能で、常に「女癖は最悪だけど写真家としては一流ですから」ってスタンスで接してるのに、時々ほころびが見えるところがとてもリアルな同年代に思えました。
カオリ 私は振り回される女たちとは違うって一線引いてる感じなのに、時々ね。
マナ 「好きなのはこの男の才能だけ」と自分に言い聞かせてる感じがするのが良かったです。私だって、そうすると思います、それしか全さんみたいな人から自衛する方法ってないですよ……。
ユミコ そうですねー、私が同世代やもっと年下の読者の方にお伝えしたいのは「『神様の暇つぶし』を読むときは気をつけて!」ってことです。
マナ どういうこと?
ユミコ 私、読み終わったとき最初に思ったのが「もう少し若いときだったら危なかった……」ってことなんですよ! 藤子と全さんの濃密な時間に触れていると、なんか自分も突っ走ってみたくなるというか、危ないと分かっている恋でも飛び込んでみちゃえ、みたいな変な勇気が湧いてくる感じがして。
カオリ なるほど(笑)。でも藤子も「右に進んで後悔できるのは左の道を知っている人だけでしょう。右に流された人には左の道が良かったかどうかなんてわからない」って言ってるしね!
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