「文學界 2月号」(文藝春秋 編)

二〇一九年、吉田修一氏の個人全集が刊行開始。
『青春 コレクションⅠ』について、吉田作品を愛する瀧井朝世、町屋良平、朝井リョウ各氏が語りつくす!


出会いとマイベスト

 瀧井 今日は吉田修一『青春 コレクションⅠ』刊行をきっかけに、あらためて吉田修一作品について語る会ですが、最初にそれぞれの吉田作品との出会いを教えていただければ。

 朝井 瀧井さんは確か、かなり前からの知り合いだったんですよね?

 瀧井 実はそうなんです。吉田さんはデビュー前に、いろいろな人の家に居候していたんですが、その中のひとつが私の友達の家で。

 朝井 エッ、偶然ですか?

 瀧井 偶然。その頃、私は出版社に勤めていたので、友達から「小説を書いている友達が居るんだけれども、どうしたらデビューできるのかな」「その人が水泳部の話を書いていて、こうこうこういう話で」と相談されていた。当時は海外文学の編集だったので何もアドバイスできなかったんだけど、数年後、ライターになり、ある時本を読んでいて「この水泳部の話、私知ってる」と思ったんです。それで友達に「前に言ってた小説書いてる人って、吉田修一さん?」って聞いたら「そうだよ」と。それが『青春』にも収録されている「Water」です。それからは共通の友達とかと一緒に飲んだりするようになりました。

『青春』 コレクションⅠ  目次
Water
突風
熱帯魚
台風一過
零下五度
灯台
紙吹雪
命綱
一途
初恋温泉
日曜日たち
パレード
自伝小説Ⅰ

文學界 2月号

2020年2月号 / 1月7日発売
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