ロッキード取材から見えてきたこと

 このたび「オール讀物」で、特捜検事・冨永が活躍する最新作『墜落』の連載をスタートしました。
新作の舞台は沖縄です。冨永が東京地検特捜部から那覇地検の三席(検事正、次席検事に次ぐポスト)への異動を命じられるところから物語が始まります。

 なぜ、沖縄を舞台に選んだのか。

 ひとつのきっかけは、「週刊文春」で初めてのノンフィクション『ロッキード 角栄はなぜ葬られたのか』を連載したことでした(2020年夏に単行本刊行予定)。

 みなさんご存じのように、ロッキード事件とは、大型旅客機の選定をめぐって時の総理・田中角栄に現金がわたったとされる受託収賄、外為法違反事件です。ただ、取材を重ねるにつれ、私は「これは単なる民間機の贈収賄ではない、背景にあるのは軍事問題である」と確信するようになりました。

沖縄上空を飛行するオスプレイ

 当時、ロッキード社が本当に日本に売り込みたかったのは、民間機トライスターではなくP3C対潜哨戒機でした。また、ロッキード社のみならずアメリカ政府全体にとって一番大事なことは、アメリカ中心の安全保障体制を維持、拡大していくこと。ロッキード事件が我々の知るような形で発覚したのには、軍事をめぐるアメリカの国内事情が大きく影響しているとわかってきたのです。

 残念なことに、事件から40年以上たった現在も、安全保障をめぐる日米の力関係はほとんど変わっていません。安倍首相は、トランプ大統領の言いなりにF35戦闘機、イージス・アショアなどを購入すると約束しています。

 昨年4月、航空自衛隊三沢基地に所属するF35A戦闘機が青森県沖に墜落する事故が起きたことも、私の背中を押しました。F35Aはまさにロッキード・マーティン社製の最新鋭ステルス戦闘機。機体は“軍事機密”の塊で、事故原因は「自衛隊パイロットの空間識失調」とされたきり、それ以上の調査は進んでいないことになっています。

【底の抜けたような貧困の実態】

こちらのインタビューが掲載されているオール讀物 2月号

2020年2月号 / 1月22日発売 / 定価1000円(本体909円)
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