海が転校してもなお、いじめは収まる気配を見せず、その矛先は瑤子と有夢にも向けられ始める。徐々に追い詰められていく彼女たちだが、辛い日常のなかにも、“救い”となる存在が並行して描かれているのが、この作品の特色だ。
それは、3人が揃って大ファンのミュージシャン、リンド・リンディ。
なかでも『ペルー』は3人が大好きな曲で、いつしか彼女たちは「3人でペルーへ行く!」を合言葉に、理不尽な日々を乗り越えようともがいていくのだった。
最終的に少女たちはある決断を下すのだが、そこには井上さんからのメッセージも込められている。
「いじめに遭っても、必ず他に居場所がある。どんな人生にも、美しくて素敵な瞬間があります。だから絶対に死なないで。小説にメッセージを込めることはあまりないのですが、今回は強く伝えたいことがある作品になりました」
いのうえあれの 1961年生まれ。89年『わたしのヌレエフ』でフェミナ賞受賞。2008年『切羽へ』で直木賞、16年『赤へ』で柴田錬三郎賞受賞。昨年『あちらにいる鬼』が話題に。
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