書評

親になるとはどういうことか──自らの生き方を問われる、力強い物語

文: 大塚真祐子 (書店員)

『漂う子』(丸山正樹 著)

『漂う子』(丸山正樹 著)

〈居所不明児童〉という言葉を、この作品ではじめて意識した。〈住民票などには記載されているのに居場所が分からず、就学が確認できない小中学生のこと〉と、物語の冒頭に流れるテレビニュースが告げる。多額債務を抱えている、父親のDVから逃げている、などが要因の例としてあげられる。

 

 しばらく学校を休ませるという父親の電話を最後に、小学四年生の栢本紗智と、父親の栢本伸雄の行方がわからなくなった。担任教師である相野祥子の代わりに、恋人でフリーカメラマンの二村直が紗智を探すことになる。これがこの物語の一つ目の軸だ。直は紗智を探すために訪れた名古屋で、児童相談所の職員の羽田、NPO団体のリーダーである河原、地域のストリート・チルドレンを束ねる富岡悟志、通称シバリに出会う。

 羽田から聞く〈居所不明児童〉をめぐる実情は、報道よりもさらに過酷なものだ。

漂う子丸山正樹

定価:本体820円+税発売日:2019年11月07日


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