インタビューほか

<井上荒野インタビュー>女の子同士のジワっとした“いじめ”。取り巻く人々の心理に迫る。

「オール讀物」編集部

『あたしたち、海へ』(井上 荒野/新潮社)

<井上荒野インタビュー>女の子同士のジワっとした“いじめ”。取り巻く人々の心理に迫る。

『あたしたち、海へ』(井上 荒野/新潮社)

「数年前に、中学生の女の子2人が一緒に飛び降り自殺した、というニュースを目にしました。とても悲しい気持ちになるのと同時に、どうして彼女たちは死を選んだのか、いつ決めたのか、死ぬまでにどんなことを考えていたのかと、たくさんの疑問が湧いてきて事件の裏側を考えるようになりました」

 井上荒野さんの新刊『あたしたち、海へ』のテーマは“いじめ”。 舞台は中高一貫の女子校だ。

「入学したら6年間、女の子だけで、しかも同じメンバーで過ごしていく。逃げ場がないという意味で、“中高一貫の女子校”という舞台設定にしました。もちろん共学でもいじめの問題はありますが、思春期に男の子の目があると、生徒たちの間にはまた違った関係性が生まれてきます。それに男の子が関わるいじめは、暴力的になる場合もあるので、少し書くのが怖くて……。女の子同士の、じわっとした心理的ないじめを描くことにしました」

 瑤子、有夢、海は幼馴染の仲良し3人組。小学校の頃からいつも一緒に行動し、中学校生活もともに謳歌するはずだった。

 しかし、1年生のマラソン大会で起きたある出来事をきっかけに、海はクラスのリーダー的存在・ルエカの標的となり、いじめを受けるようになる。やがて海は転校し、3人は離れ離れになってしまうのだった。

「中学や高校は、体育祭やコンクールなど同調圧力の強いイベントが多い。そこで“異質”と見なされた子は簡単にはじき出されてしまう。海もその1人です」


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