- 2020.02.27
- インタビュー・対談
<安部龍太郎インタビュー>戦国時代を知るためには、新たな歴史観が必要だ!
第二文藝部
作家生活30周年記念作品『海の十字架』(安部 龍太郎)
ジャンル :
#歴史・時代小説
「『謙信の財源は何だ?』という疑問から生まれた「景虎、佐渡へ」
また6話目の「景虎、佐渡へ」のアイデアは、著者の長年の疑問から生まれたのだという。
「長い間、上杉謙信(長尾景虎)の財源は何だろうと考えてきました。当時の越後は、現代のように米どころではなかったですから。
佐渡島について調べているときに、“あること”を発見したんです。その説を裏付けるために、現地に取材にいったのですが、そこで、佐渡と石見銀山の繋がりを知ることができた。
いわゆる、日本海海運を使った商業の交流です。
上杉謙信は、石見銀山を通じて、博多の豪商・神屋と繋がり、火縄銃を大量に手に入れるルートを得ていたのではないか、と。
軍神とされた上杉謙信は、“商業”的な面でも、革新的だったのです」
著者は、戦国時代は、決して「領土争奪戦」ではなく、流通路、つまり、商業の拠点をめぐる戦いであったのだと見ている。
「江戸時代に儒教史観が刷り込まれたため、名将は人格者だったとされ、人徳の部分だけが語られていることが多いですが、私はそうではないと思います。
当時の合戦において、勝敗を分けたのは、武将の司令官としての能力だけではありません。 織田信長しかり、時代を勝ち抜いた戦国武将らは、水運などの流通を握っていた。経済力に基づく圧倒的な技術力で勝ち上がっていったのです」
こちらもおすすめ