「急須と蓋」の説得で逆転満塁ホームラン
「あの『借地権』の土地は2億円はするので、あんさんの相続の評価額だけでも6000万円から8000万円になりまっせ。しかも、ほかにもいくつか同じような土地を持ってはるようで、底地だけで2億円以上の相続になるかもしれまへん。おまけに、他の底地にも、借り手が住んどるから売れへん。そうなると、あんさんの相続税もめっちゃ高うなります。そのお金を、あんさんが現金で持っていはるなら問題あらへんけど、ないなら、最悪の場合は他の財産と一緒に『相続放棄』せなあかんようになるかもわからへん。どないしますぅ?」
この言葉に、先ほどまで我関せずの態度だった地主の息子の顔色が、一瞬で変わりました。税理士がここぞとばかりに続けます。
「借地権は強い権利なので、正当な理由がないと賃貸契約を解除でけへん。もし、どないしても底地を買うてもらおうと思ったら、足元見られて二束三文ですわ」
地主の息子は黙ったまま。税理士が追い打ちをかけます。
「まあ、相続になったら物納という方法もないことはおませんが、底地の物納は、よっぽどええ土地やないと難しいでっせ」
ここまでくると、すでに税理士のペースになっています。
「どうしても、地主さんがダメだというなら、弁護士さんに頼んで借地非訟を裁判所に申し立てることもできないことはおまへんが、何もそこまでせんかて、お互いにいい方法はありまっせ」
借地非訟とは、借地権の売却(第三者への譲渡)をしたいけれど地主が承諾してくれない、もしくは承諾料が高すぎるというような、本人どうしでは解決できそうにない借地権にまつわる様々なトラブルを、裁判所が簡易な法的手続きで解決するものです。
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