地代が2倍にアップ
兄弟は地主の同意を取り付けるために、手土産を持って電車で2駅ほど先にある地主の家を訪ねました。玄関のチャイムを押すと、目つきの鋭い高齢の男性が出てきました。
「先日、お電話した田中ですが、父が借りていた『借地』のことで、ご相談に上がりました」
2人を家に招き入れたその老人は、老眼鏡の奥から迷惑そうな眼差しを向けながら、口を開きました。
「あそこは、駅ができて便利になって、わしが払う固定資産税もえろう高くなっているさかい、この際、地代を値上げしようと思うてます。今までの2倍くらいは払うてもらわなあきまへんがな。よろしゅうお願いします」
「借地権」の売却に同意がもらえないどころか、逆に、使う予定もない家の地代のアップを切り出され、兄弟は二の句が継げません。
もちろん、売却しなくても、誰かに貸して家賃収入を得るという方法もあります。けれど、そうするにも、前述のとおり地主の同意が必要です。
かと言って相続放棄をすれば、「借地権」だけでなく父親が遺した800万円も放棄してしまうことになる。
兄弟は、八方塞がりの状況に追い込まれてしまったことを痛感して、再び税理士を訪ねました。
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