特集

紀行 八戸滞在日記

文: 滝口 悠生

文學界4月号

「文學界 4月号」(文藝春秋 編)

二〇二〇年一月三〇日(木) 一日目

 十二時に八戸駅着。曇天。改札を出たところに八戸ブックセンターの佐藤さんと森花子さん。同じ新幹線だった柴崎友香さんとも合流。

 八戸市にある書店、八戸ブックセンターのギャラリーで開催されている「アイオワ/八戸 ~作家が滞在するということ~」という展示に合わせての来八である。「来八」というのは八戸のひとが「来日」みたいに使う語で、元野球部の私は「ライパチ」(八番ライトのこと)と読みたくなるが濁らず「らいはち」と読むっぽい。というかこちらは行く側なので「訪八」と言うべきか。私はブックセンターに来るのは三度目で、スタッフのみなさんともすっかり顔なじみ。でもこれまではいずれも妻の仕事についてきただけだったから自分の仕事で来るのは今回が初めて。

 この日の午後は製紙工場の見学と、夕方からブックセンターで地元高校生とのトークセッションのイベントが組まれていたが、その前にお昼ご飯。佐藤さん運転の車で、民家を改装してつくったatta(アタ)というレストランへ連れて行ってもらう。入口に見たことのない形の大きな松ぼっくりがあった。店内はログハウスのような内装で、本棚には本や雑誌がたくさん。スパイスやハーブの瓶も壁の棚にたくさん並んでいる。そこに昔の「おかあさんといっしょ」の人形も並んでいた。じゃじゃ丸、ぴっころ、ぽーろりー、と歌で名前が思い出され、順番に画面の縁から顔を出すアニメーションも思い出す。私はチキンカレーを頼んだ。おいしい。柴崎さんと花子さんが頼んだオムライスも少しスパイスが効いているそう。サラダやドリンクがついたランチのセットでカレーは七五〇円。ハッカ茶もおいしかった。

文學界 4月号

2020年4月号 / 3月6日発売
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