うさぎや矢板店 山田恵理子さん
今村夏子さんの描く先にあるものは何か? 様々な視点を投げかけてくれました。予想の斜め上どころか、脳をつかまれて、きゅっきゅっと回転され、新しい世界にログインした感覚。みんなは家族になって、いつまでも一緒にいたかったのかな。自分のためでなく、深い無償の愛で。亜沙たちの永遠の幸せを祈りながら……どうしようもなく、せつない。
くまざわ書店南千住店 阿久津武信さん
ラストシーンを「可哀想」で終わらせてしまうには、あまりにも可哀想すぎる。亜沙が幼かった頃からの様々なつらい出来事があったからこそ、恋も出来たし、若者との出会いもより一層大切なものとなったのだと思うし、この先も亜沙の希望は何らかの形で生き続けていることを信じたい。
紀伊國屋書店新宿本店 久宗寛和さん
「少女がわりばしになる」という展開もさることながら、徹底して感情を排した文体で描かれる「手渡したものを食べてもらえない」というエピソードは、何度も繰り返されるうちにシュールを通りこしてコミカルにさえなってくる。それでいて「自分を受け入れてもらえない」という淋しさは伝わってくる。誰が読むかによって、この小説は笑える作品にもなり、読者の心に寄りそう作品にもなるだろう。
旭屋書店池袋店 礒部ゆきえさん
なんて物語なんだろう。自分の見てきた世界を根本からひっくり返されたような、ものすごい衝撃でした。今村夏子、おそるべし。人それぞれに持つ答えがあって、正解なんてないんだと、改めて、心底思いました。これはしばらくこの一冊から抜け出せそうもありません。
東大生協本郷書籍部 佐藤直子さん
読み終えた時のしんとした気持ちが何かに似ているなあと思って、少し考えてみて、「まんが日本昔ばなし」の寂しいお話、ちょっと奇妙なお話、悲しいお話が終わったあの瞬間だ!と思い当たりました。一度そう思うと、お話全体が市原悦子さんの語りで再生されて、本当にしっくりきました。この『木になった亜沙』も昔ばなしのように長く読み継がれてほしいです。
ジュンク堂書店吉祥寺店 田村知世さん
新しい今村夏子の危険度は底無しだった。思い思われることに焦がれ、愛を渇望し続ける姿は人らしく、しかし人のままでは報われる事もない。今村作品の中で、一番理不尽で、一番応援したくなる登場人物たち。その幸せの形はなんて痛々しいのだろう。愛は混沌であることを知った。
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『赤毛のアン論』松本侑子・著
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