大地より生まれし生命、大地を汚し
大地に帰りて再び大地より生まれる
人はただ、その輪に身を委ねるのみ
我はいざ、その輪を己が手で回さん
序
「茜ちゃん」
わたしは呼んだ。
「来ないで」
彼女は答えた。薄暗い部屋の隅で縮こまる。痩せ細って曲がった身体は小刻みに震え、見開かれた目は怪しく輝いている。カチカチと歯の鳴る音が聞こえた。病気のせいか。違う。
彼女は――茜はわたしを恐れていた。同じ十一歳の、同じ女子であるわたしに恐怖を抱いていた。
「お願い……近寄らないで」
蚊の鳴くような声で懇願する。
助けてくれと頼んだのは茜の方なのに。わたしは計画を練って何度もシミュレートして、あらゆる手を尽くして実行したのに。わたしだけではない。大勢の人たちが知恵を絞り、骨を折ったのに。
わたしは混乱しそうになって、すぐ気付いた。
茜は囚われているのだ。縛られているのだ。
邪教に。
彼女の両親に。
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