- 2020.09.23
- インタビュー・対談
なぜ「小説」と「ビジネス書」と「寓話」がミックスされた本を書いたのか
聞き手:文藝春秋出版局
『藁を手に旅に出よう』著者・荒木博行インタビュー
ジャンル :
#政治・経済・ビジネス
『ビジネス書図鑑』や『世界「倒産」図鑑』の著者として知られる荒木博行さんによる新刊『藁を手に旅に出よう』が9月17日に発売された。その内容は、これまで荒木さんが書いてきたようなビジネス書ではなく、寓話を題材にした小説だという。その真意を著者に聞いた。
――『藁を手に旅に出よう』が刊行されましたが、これまでの荒木さんの書籍と違って「小説」ということに驚きました。
荒木博行(以下、荒木) 話があった当初は小説にしようとはまったく考えていませんでした(笑)。ただ若いビジネスパーソン向けに書く、というお話だったので、今回は「物語」でいこうと決めました。書く前は『嫌われる勇気』(岸見一郎、古賀史健 著)が頭にあって、あの本は対話形式ですけど、この形でしか伝えられないことがあると感じていて。
――なぜ「物語」でないといけなかったのでしょうか。
荒木 本質的に大切なことは「ファスト」じゃなくて、「スロー」のなかにあると思っているんです。それはいかにして効率的に物事を素早くさばくか、という発想とは違う考え方です。
もちろん、いますぐ役に立つスキルや情報が必要なことは言うまでもありません。しかし、あまりにも情報が多すぎて、情報をピックアップするだけで、じっくり考える前に疲れてしまう。勉強をしているつもりでも、知識をフォルダに入れ替えているだけのようになってしまっている人って実は増えてきているような気がします。
だからこそ一度、そういうファストな情報を遮断して、シチュエーションに没入しながら自分の内面と向き合って考えてほしかった。だから『藁を手に旅に出よう』は小説になったんです。
――どの章でも、必ず人事部長の「石川さん」による「寓話」をベースにした研修/講義が展開されるのも印象的です。
荒木 原稿を書いているときは、なんでこんな制約を自分に課しちゃったんだろうと思っていましたけど……(笑)。寓話を使って、そこにみんなが思っている解釈とは違う解釈を与えているんですが、これも読んだ人が書いてあることをただ呑み込むだけでなく、自分ならどう思うかを考えてほしいですね。
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