- 2020.09.23
- インタビュー・対談
なぜ「小説」と「ビジネス書」と「寓話」がミックスされた本を書いたのか
聞き手:文藝春秋出版局
『藁を手に旅に出よう』著者・荒木博行インタビュー
ジャンル :
#政治・経済・ビジネス
――違いばかりに目を向けるのではなく共通点を探せ、というのも『藁を手に旅に出よう』で一貫しているテーマですよね。
荒木 ダイバーシティも標語のように最近言われていますけど、多くの場合「違い」にばかり目がいってしまって、そこで思考が止まっているように感じます。本当に大切なのは、一見すると違う人たちのなかの共通点、似ているものを探すことじゃないでしょうか。
これはキャリアにも言えることですが、多くの人は具体的なものにばかり目が向いてしまって自ら可能性を狭めてしまっている気がします。たとえば経理部で働いている人は、自分の仕事を「数値管理」としか捉えてないかもしれません。でも、抽象度を高めれば「会社の『見える化』に取り組んでいます」と言えなくもないんですよね。そう捉えれば、そこを軸にして新しい可能性が広がってくるかもしれません。
――たしかに視野が狭くなりすぎて、自分は何をしたいんだろう、と自分を見失ってしまっている人もいるような気がします。
荒木 自分のキャリアって連続性がない、と思っている人も多いんじゃないかなと。実際、僕もそうでした。だから、この本の最後で登場人物の人事部長が「キャリアは星座のようなもの」と語るシーンを差し込んだんですよね。ご存知の通り、星座の形っていい加減なんです。星がたった2つで「こいぬ座」ができあがったりしています。おそらく星座を作った羊飼いたちに、仔犬に見えてしまった瞬間があるのでしょう(笑)。
でも、キャリアも似たようなもの。つまり、一見関係ないような点が並んでいても、「これはひょっとしたら自分はXXのプロになる宿命なのかもしれない」と見えてくる瞬間がある。つまり、最初に意味は見えなくても、後付けで何か抽象的な形が浮かび上がってくるものなんです。だからその時を信じて、まずは星を作る旅に出る。星が多ければ、後からいろんな星座が作れますからね。
――今回、荒木さんがなぜ『藁を手に旅に出よう』を書かれたのかがよく分かりました。ありがとうございました!
荒木博行(あらき・ひろゆき)
株式会社学びデザイン 代表取締役社長
慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、住友商事入社、人材育成に関わる。
その後、グロービスに入社。法人向けコンサルティング業務を経て、グロービス経営大学院でオンラインMBAの立ち上げや特設キャンパスのマネジメントに携わる。2015年、グロービス経営大学院副研究科長に就任。
2018年、同社を退社後、株式会社学びデザインを設立し、代表取締役に就任。
株式会社フライヤー アドバイザー兼エバンジェリストやNewsPicksエバンジェリストも務める。
武蔵野大学客員教員。
著書に『見るだけでわかる! ビジネス書図鑑』『見るだけでわかる!ビジネス書図鑑 これからの教養編』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『世界「倒産」図鑑』(日経BP)など。
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