- 2020.10.20
- インタビュー・対談
新総理・菅義偉の唯一の著書からわかる、政治家の信念とは何か。
菅 義偉
『政治家の覚悟』(菅 義偉)
出典 : #文春新書
ジャンル :
#政治・経済・ビジネス
ポストコロナ時代に迫られるデジタル化
新型コロナウイルスで浮き彫りになったのは、「デジタル化」および「サプライチェーンの見直し」の必要性です。ようやく解禁されたオンライン診療も今後続けていく必要があります。さらに、子供たちの教育のためにGIGAスクールも強力に進めなければいけません。
そうしたなかで、行政のデジタル化の鍵を握っているのが、マイナンバーカードと言えるでしょう。役所に行かなくても、あらゆる手続きができる。そんな社会を実現するために必要不可欠なのです。しかし、これまでその普及が進んでいませんでした。
ですから、できることから前倒しで措置するとともに、複数の省庁に分かれている関連政策をとりまとめ、強力に進める体制として、「デジタル庁」を新設する考えです。
一方で、ポストコロナ時代においては、こうした新しい取り組みだけでなく、引き続き、環境対策、脱炭素化社会の実現、エネルギーの安定供給にも、しっかり取り組んでいきたいと考えています。
地方創生の切り札
前述のとおり秋田の農家で育った私の中には、一貫して「地方を大切にしたい」、「日本の全ての地方を元気にしたい」という気持ちが脈々と流れています。この原点を形にするために、知恵を絞り、政策を実現してきました。
実際に、第一次安倍政権で総務大臣に就任してからは、かねてから自分の中で温めてきた「ふるさと納税」を官僚の大反対を押し切って創り上げました。地方から都会に出てきた人たちの多くは、「生まれ育ったふるさとになんらかの貢献をしたい」、「ふるさと、との絆を持っていたい」、そう思っているに違いないと思ったからにほかなりません。今では、多くの国民のみなさまにご利用いただいており、あのとき信念を曲げなくてよかったと考えています。
また、地方の活性化を進める中で、官房長官として何よりもうれしかったのは、二十六年間下落し続けていた地方の地価が、昨年二十七年ぶりに上昇に転じたことです。
これは、地方創生の切り札である外国人観光客、いわゆるインバウンドが効果を上げたことが大きな要因です。第二次安倍内閣発足時には年間八百三十六万人だったところを、外国人観光客が地方に足を延ばす政策をとったことで、昨年は年間約三千二百万人まで拡大することができました。消費額も約一兆円から約五兆円まで拡大しています。また、農産品の輸出も四千五百億円から九千億円まで倍増したのです。
これからもインバウンドや農産品輸出の促進、さらには最低賃金の全国的な引き上げなど、地方を活性化するための取り組みを強化し、「がんばる地方」を応援するとともに、被災地の復興を支援していきたいと考えています。
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